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2015年9月30日 (水)

ドラマ「マルコ・ポーロ」シーズン1(5.ハシャシン)

マルコ・ポーロ 予告編

2014年アメリカ
監督:ジョン・ファスコ
キャスト:
マルコ・ポーロ…ロレンツォ・リチェルミ
フビライ・ハーン…ベネディクト・ウォン
賈似道…チン・ハン
チャブイ皇后…ジョアン・チェン
チンキム皇太子…レミー・ヒー
百の眼…トム・ウー
ビャンバ…ウリ・ラトケフ
ユースフ… アムール・ワケド
ハサン=イ・サバーフ(山の老人)…マノ・マニアム

 前話からの続きの場面。マルコとフビライがニコロとマフェオの処分について話していると、突然フビライに毒針が打ち込まれた!

 黒ずくめの賊がこんな宮廷の奥深く、フビライの私室に侵入、襲いかかってきたのである。そこに難なく入ってくる百の眼も充分危ないヤツという気もするが、マルコが咄嗟にフビライをかばって賊との間に入ったために、彼とフビライの側室の子ビャンバが間に合った。この二人がすごく強くて賊を倒す。

 ビャンバってチベット語じゃん。チンギスの時代にも、ジャア・ガンボみたいにチベット語の称号が付いてる人もいるけどさ、当時のモンゴル語にはそんなにチベット語の語彙って入っていないのでは? アメリカのドラマにしては外国の文化を理解しようとする姿勢は評価できるんだけれど、全体的に使われてるモンゴル語がどうも現代モンゴル語くさいんだよな。いや、モンゴル語知らないんだけどさ。時代考証的にどうなのか、専門家のご意見をお伺いしたいところ。

 さて、この刺客どもはハシャシン……いわゆる暗殺教団(アサッシン)で、彼ら自体に主義主張はなく、誰の依頼でフビライを狙ったのかは全くわからない。でも、エピソード2を覚えている皆さんなら、ここでマルコと一緒にピンと来るはず。アレです(←ネタバレなので伏せる)。マルコはビャンバとともにその心当たりを確かめに行くことになる。

 もちろん、ドラマの中でも言ってるとおり、この頃、暗殺教団ってフレグに滅ぼされて久しく、実際はないんだけど、そこは『東方見聞録』にでているオイシイ話を洩れなく盛り込んだエンターテインメントってことで、山の老人ハッサン=イ・サバーフまで出てきちゃう(笑)。もっとも、それもマルコの幻覚なのかもしれないけどね。

 ところで、お話しとは関係ないけれども、欧米、特にアメリカがイスラム過激派のテロに対するイメージって暗殺教団のイメージと重なるのではないのか、だから我々から見ると過剰と思える程敏感に反応をするのでは?と思えて興味深かった。
 フビライの側近のユースフって実在の人物なのかな? 元のことはよく知らないのでわからないのだけれど、あるいはマフムード・ヤラワーチをモデルにした架空人物かもしれない。こういう地位の高い人が自ら刺客を尋問(というか拷問)することってあるのかなー?と疑問に思うと同時に、その絵面がよくあるイスラム過激派を敵役にしたアメリカ映画の悪の首領そのもので、アメリカ人のムスリムに対するイメージってこんなかい!?とあきれるやら納得するやらで、そういう面も垣間見られてなかなかおもしろい回だった。

ドラマ「マルコ・ポーロ」他のエピソード・シーズン1:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
番外編:百の目
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2015年9月28日 (月)

ドラマ「マルコ・ポーロ」シーズン1(4.死の際)

マルコ・ポーロ 予告編

2014年アメリカ
監督:ジョン・ファスコ
キャスト:
マルコ・ポーロ…ロレンツォ・リチェルミ
フビライ・ハーン…ベネディクト・ウォン
賈似道…チン・ハン
チャブイ皇后…ジョアン・チェン
チンキム皇太子…レミー・ヒー
百の眼…トム・ウー
アフマド…マヘシュ・ジャドゥ
コカチン…チュウチュウ

 今回の萌えポイント。
 チャブイに対して
「おまえが一番なんだよぅ。いちゃいちゃしようよぅ。ちゅっちゅっ」
って誘っているのに袖にされ、えー……って顔のフビライ。かわいいですなぁ。
 チャブイってそういう人だっけ? と思わなくもないけど、フビライがマッサージの上手い中国女(実は賈似道の妹)に熱を上げているのに焼き餅焼いているって事なんだろうか。

 それはともかく。
 毒蛇に噛まれて死にそうになったマルコの妄想が女の事っていう辺り、後のヘタリアの片鱗が垣間見えて笑ってしまった。笑う所じゃないんだけど。

 そんな命が危ない時に、ニコロとマフェオがカンバリクを訪れ、厄介事を持ち込む。三年前、つまりフビライの都にやってくる直前に初めて父を知ったというマルコの身の上話を聞き、父への複雑な思いに何か感じるところがあったのだろうか。国禁を侵したニコロたちを許してやろうか?のような話をちらつかせるところで次回に続く。

 それにしても、戦争屋と評される賈似道とアフマドが悪どいねぇ。
 アフマドは前はハイドゥに言い寄ってたり、チャブイに工作してたり、今回はチンキムにおべんちゃら言ったりして、財務長官がなんであんなに戦争をたきつけるのか謎なんだよなぁ。
 賈似道はなんというか、幼女を泣かせたりして人としてどうなのかってレベルで。 二人ともろくでもない最期を迎えそうな雰囲気を漂わせてますなー。どうなることやら。

 風景が中国っぽくないよなぁ、と思ってたけど、カザフスタンでロケしてるんですな。
 それと、今気付いたのだけれど、エンディングがモンゴルのフォークロック・グループ、アルタン・ウラグ。劇中にも幾つかアルタン・ウラグの曲が使われているようなので、これからはもっと注意して聞いてみることにしよう。

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番外編:百の目
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2015年9月27日 (日)

ドラマ「マルコ・ポーロ」シーズン1(3.宴)

マルコ・ポーロ 予告編

2014年アメリカ
監督:ジョン・ファスコ
キャスト:
マルコ・ポーロ…ロレンツォ・リチェルミ
フビライ・ハーン…ベネディクト・ウォン
賈似道…チン・ハン
チャブイ皇后…ジョアン・チェン
チンキム皇太子…レミー・ヒー
ハイドゥ…リック・ユーン
百の眼…トム・ウー
アフマド…マヘシュ・ジャドゥ
コカチン…チュウチュウ
フトゥルン…オリヴィア・チェン

 ハイドゥが催した酒宴にチンキムのお供をして参加したマルコは、そこで男に混じって互角に相撲に興じる肉食系美女を見かける。

 『東方見聞録』読んだ方にはもうおわかりだろう。この美女はハイドゥの娘で、「珍獣」マルコに興味津々。

 一方、チンキムはハイドゥにさんざん嫌みを言われて耐えられなくなり、フビライの許に逃げ帰る。

 このチンキムとフビライ、マルコとニコロ・ポーロの父子の葛藤がこの先も描かれていくようだけれど、ここでフビライが父トルイのことを語る。

 トルイがオゴデイの身代わりになって毒杯をあおった話は、現代の目から見ると文字通りには受け取れないんだろうね。これをどう扱うかっていうのに作者の価値観・作品の方向性が表われるんじゃないかな。欧米人なら、当然「合理的に」解釈するところ。

 ここだと、まるでトルイがダメ男・父親失格みたいに描かれていて、トルイってそういうイメージじゃないんだけどなー、酒で身を持ち崩したのはオゴデイだろ、と思うんだけど、それもトルイ家が天下を取って、このドラマでフビライが言うようにプロパガンダを流布した影響かもしれないし。

 もっとも、トルイ、オゴデイのどっちと言わず、あの四兄弟は全員酒好きかー(笑)。(チャガタイはそんなに飲まないのかな?)。

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番外編:百の目
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2015年9月26日 (土)

ドラマ「マルコ・ポーロ」シーズン1(2.狼と鹿)

マルコ・ポーロ 予告編

2014年アメリカ
監督:ジョン・ファスコ
キャスト:
マルコ・ポーロ…ロレンツォ・リチェルミ
フビライ・ハーン…ベネディクト・ウォン
賈似道…チン・ハン
チャブイ皇后…ジョアン・チェン
チンキム皇太子…レミー・ヒー
百の眼…トム・ウー
アリク・ブカ…アマルサイハン・バルジンニャムィン

 フビライの「んー」とか「うぐぅ」という風に聞こえる「うん」がかわいいと思えるようになってきた今日この頃。

 武昌攻めに失敗して帰ってきたチンキムが怪我をしたことにチャブイが激怒。約束を破って兵を出さなかったアリク・ブカなんか馬に蹴られて死んじまえ、なんて言ってるけど、チャブイってそういう人だったっけ?

……ってうっすら頭に「?」が浮かんで始まった「マルコ・ポーロ」第二話。

 マルコがチンキムにお供してカラコルムまで行く風景がすばらしく、このドラマがすっかり気に入った。ただ、カラコルムがすっかりさっぱり城壁も固定家屋もないゲル集落。あの亀石に碑石が突き立ってるありし日の姿を見られるのは感慨深いものの、フビライの都に比べると見劣りがするなぁ。そういう演出だとしても、まだ今のような更地ではないはず。そもそも、カラコルムはチンギスの都じゃない。

 一番驚愕したのは、フビライがアリク・ブカと戦っちゃうところだ。一対一で。

 で、アリク・ブカをRX(一欠)のリボルケインばりにぐっさりやっちゃう。マルコの武術の師匠百の目が、
「これがモンゴルの戦いだ」
なんて言ってるけど、そうだったっけ? 『ゲセル・ハーン』のような英雄叙事詩にはあったかもなぁ。でも、一騎打ちでなくて集団戦法の方がモンゴル軍団の特徴って気もするんだよなぁ。ちうか、フビライ歳幾つよ? アリク・ブカの剣の刺さり具合だと、橈骨まで達してるように見えるんだけど、直後でも割と平気そう……。さすが大ハーン(汗)。……つか、マジレスすると、フビライはアリク・ブカを殺してないよなぁ。

 などと呆然としてると、第三話では賈似道まで蟷螂拳で戦いだしちゃう。そういうドラマだったんかい! っていうかコオロギ宰相って呼ばれてるのに何でカマキリなんだよ???

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2015年9月23日 (水)

ドラマ「マルコ・ポーロ」シーズン1(1.西洋からの旅人)

マルコ・ポーロ 予告編

2014年アメリカ
監督:ジョン・ファスコ
キャスト:
マルコ・ポーロ…ロレンツォ・リチェルミ
フビライ・ハーン…ベネディクト・ウォン
賈似道…チン・ハン
チャブイ皇后…ジョアン・チェン
チンキム皇太子…レミー・ヒー
ハイドゥ…リック・ユーン
百の眼…トム・ウー

 Netflixオリジナルドラマ「マルコ・ポーロ」始まったので見始めました。

 一話目で、村人全員串刺しになってるシーンから始まってて、え、それって ヴラド・ツェペシュ……と思って一抹の不安を覚えたが、見ていくとなかなか おもしろい。

 襄陽包囲戦に関する御前会議で、アリク・ブカだけでなくハイドゥもいてび っくりした。大丈夫なのかな、これ。ハイドゥって母方に保護されてたんじゃ なかったっけ? オゴデイ家っていうんなら、コデンがいた方がよさそうな気 もするが、ハイドゥがフビライの漢化を問いただしているのは、なんかの伏線 なんだろうな……と予想。

 ところで、チンキムを主将として武昌を攻めることになるのだが、これにア リク・ブカが、
「黄金のオルドを率いて」
参加する、とかなんとか言っていて、ちょっとわくわくしてしまった。ジョチ 家も出る~?と思って目が☆☆☆になったからだが、事実関係としてはこれは ちょっとおかしいんじゃないか?

 チンギス・カンのものについては何でも「黄金の~」をつけるものなので、 トルイの末子で正当な後継者であるアリク・ブカがチンギス・カンの遺品であ る「黄金の天幕(オルド)」を保持しており、皇室全体がこの戦に賛成してい る象徴としてこれを掲げて参加する、という意味なのであり、正しくは「(チ ンギス・カンの)黄金のオルドを奉じて(つまり、錦の御旗を掲げて、の 意)」と訳すべきものかと思って英語字幕も確認したのだが、「I will lead Golden Horde...」となっていて日本語訳が間違っているわけでもないみた い。

 どこかの年代記にアリク・ブカがチンギス・カンのオルドを持っている事についての記述があって、英訳の時点で解釈を間違ってるのかと思って探したがよくわからなかった。現代の八白宮の基になる「チンギス・カンの黄金のオルドの祭祀」についての記述はチ ンキムの息子カマラの時からのようだし……。この点、なんらかの資料に基づ いていそうなんだけど、いまのところ謎。

 で、「マルコ・ポーロ」。
 これ、単発でなく1シーズン10話……って、「1シーズン」ってことは、2シ ーズン、3シーズンもあるんですね!!
 うん、うん、そうだろそうだろ。モンゴルをじっくりやるとなればそのくら い必要だ。微エロ(水戸黄門の入浴シーン程度)あり、冒険ありの大河ドラマ になるのかな。わくわくどきどきしながら、次の話を見るとしよう。今後も目 を皿のようにしてツッコミの入れどころを探しながら楽しんでいきたい。

ドラマ「マルコ・ポーロ」他のエピソード・シーズン1:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
番外編:百の目
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