「ウィンター・オン・ファイヤー:ウクライナ、自由への闘い」オフィシャルトレーラー
2015年UK/ウクライナ/アメリカ
監督:エヴゲーニィ・アフィネーフスキー
テレビを見ない、というか、我が家にはテレビがないので、いきなりYouTubeのライブ映像でキエフの夜が燃えているのを見ていったい何が起こったんだと驚愕した記憶がある。
関連映像を漁りまくり、夜明けの映像で道路に積んだタイヤを燃やしたんだとわかったんだが、まさに「どうしてこうなった?!」状態だった。これ、大丈夫なのか?!と。
これが2013年11月に始まるウクライナ共和国首都キエフでのエヴロマイダンと呼ばれる「革命」である。
そこにいたる事の顛末を綴ったのがこのドキュメンタリー。
デモ参加者の視点でまとめられており、発端はフェイスブックでの呼びかけによる平和的な集会であり、ベールクト(ウクライナ内務省の特殊部隊)が警棒で殴りつけてきてもなるべく挑発に乗らないように耐えているので、どうもあの映像と結びつかず、これは本当にあの事件のドキュメンタリーなのかと疑ったほどだ。
しかし、1ヶ月、2ヶ月経って年を越した頃からベールクトの高圧的な取り締まり、解決策を出すことができない議会や政治家に苛立ちを募らせた群集が石を投げ、棒で警官を殴り始めると、取り締まる側の力の行使も見る間にエスカレートしていき、遂に死者も出だす。
私の記憶に残っていた、街路が全て火の海になっている映像はその後、2014年2月に入ってからですな。
筋書きがないドキュメンタリーなだけに、予期しない登場人物が死んだりするのが不意打ち過ぎて言葉もない。
しかし、ウクライナのように日本から遠い国についての報道では、いきなり刺激的な映像だけが取りあげられ、後どうなったかのフォローが等閑にされている事が多いから、こういうふうにまとめて取りあげてくれるドキュメンタリーは大変有益であった。
最初の方が若干冗長な感じがするけれども、これはデモ参加者の言い分なのでこうなるのだろう。それもまた意味のあることだ。
ただ、ここで話されているのはウクライナ語だというが、ロシア語かじった程度の私にはロシア語との区別ができない。ロシア寄りの政策を採るヤヌコーヴィチが全ての元凶と彼らは言うが、ヤヌコーヴィチを支持する層はウクライナの中にも一定数いるわけだし、どっちか極端ではなく双方の言い分をすりあわせて中道を探る事はできなかったのだろうか。ロシア憎しの感情はわからないでもないが、EUに加盟すれば全て解決、めでたしめでたしって訳でもないのだし。
…でも、それが革命というものなのかもしれないけどなー。独立広場の真ん中に円柱が立っていることもあり、血の日曜日などのロシア革命での一連の出来事がオーバーラップして思い出されたよ。
…個人的にショッキングだったのは、デモ参加者がソ連時代を「祖父の時代に逆戻り」と言ってた事。ソ連崩壊後に生まれた人もいるんだってよ。ソ連はそんな昔々の話になってしまったか。
あと2013年12月11日に修道院のありったけの鐘を鳴らしたミハイル修道院の人が全部の鐘を鳴らしたのは「1240年にタタールが侵入した時以来」とか言ってる事。アンタのすぐ前にインタビューに答えてるムフティーはその末じゃないのかよー。
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