ドキュメンタリー「大統領の死」
ナショナル ジオグラフィック チャンネル
メーデー!10:航空機事故の真実と真相 (吹替版)(2011)
第10話「大統領の死」
ソ連時代以降の東欧の歴史は一通り知ってはいるから、ポーランドとソ連の仲の悪さってのは、話には聞いていた。
が、両国の怨念の歴史はそんな浅いもんではなく、それ以前、つまり帝政ロシア時代から連綿と続いったって事ですかねえ……。
こないだ昔の角川映画「復活の日」を見たら、人類が死滅した後の南極でポーランドのチュロヴィッツ博士(だったか)が議長役のボロジノフ博士に、
「もうソ連の指示は受けませんぞ!」
なんて言ってて吹いた。……というより、どん引きした(笑)。そんなに世に広く知れ渡った険悪な間柄だったんかいな。
そういう事を考え合わせてようやく、レフ・カチンスキ大統領が墜死した2010年4月10日のスモレンスク墜落事故って、いかにまずい時にまずい所で起こったもんだな、とわかってくるような気がする。
ポーランド側の国民感情が納得しない、とか陰謀論がいつまでもくすぶってる、てのはそういう事なんだろう。余所者にはなかなかピンと来ない話だ。
でも、このドキュメンタリーを見ると、まずい時、まずい所だったからこそ起きた事故って感じがした。あれがカチンの森最寄りの空港でなく、モスクワの国際空港に行くんだったらそもそも起こらなかっただろうし、大統領だの空軍の司令官だのお偉いさんが乗ってなければ、どうしてもその空港に降りなければというプレッシャーもなかっただろうし。儀典長がコックピットに入ってくるとか、正しい判断(他の空港に行く)をわざと曲げさせようとしてるみたいじゃんね?
これ、プルタシュク機長がものすごく気の毒だよ。私らのような日常生活の場では、安全性や規則よりも客よりも、社長やら会社のお偉いさんに融通を利かせるなんてことは、まかり通ってるからねえ。常日頃(オセチア紛争の時とか)ごり押しを重ねてきた大統領にしっぺ返しが来たとも思えちゃうんだよなあ。率直な感想なんだけど、こんなこと言うと「おまえはロシア寄りすぎる」とか言われそうなくらいセンシティヴな話だよ。
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