映画「敦煌」
1988年日本/中国
監督:佐藤純彌
キャスト:
趙行徳…佐藤浩市
朱王礼…西田敏之
ツルピア…中川安奈
李元昊…渡瀬恒彦
曹延恵…田村高廣
敦煌関係の一般向け書籍読むと必ずと言っていいほど「小説ではああいう風に書かれているけど、実は……」と前置きされてる例のアレですな。ああいう風に曹延恵が何十年もかけて集めた各国の文化芸術の精華にしちゃあ、敦煌文書は断片的だったり、使い古しだったり裏紙だったり。
たとえて言えば、「平成○○年まで保存」と書いて段ボールに入れて倉庫にしまった書類が、会社が倒産して廃墟になった倉庫にしまい込まれたまま忘れられたって感じなんじゃないの? だからこそ、普通は後世に残さない情報が残った訳でもあり。
映画の最後はロケ地の中国に配慮しましたーって感じのナレーションで締められるけど、その説明はなんか違うなって感じてしまう。
でも、まぁ、映画はおもしろかった。
西夏語/西夏文字バシバシ出て来たし。
やっぱ李元昊が漢語に見立てた(?)日本語話すと雰囲気台無しだもんね。
事実なんてものは、たとえ後から何とか事件と名付けられるような歴史的事件でも、散漫で淡々として山もオチも見えづらいもの。映画(小説も)と歴史的事実は全くの別物なので、そこを混同しない限りはまーまー演出の範囲内という事で。
なんかNHK大河ドラマみたいな雰囲気になってはいたけど。李元昊が織田信長っぽく見えた(笑)。
それでも、西夏人はちゃんと西夏語しゃべってて、なかなか凝ってる。西夏の話なのに、西夏人あんまり出てないけど。
全員日本人キャストだと人の見分けが付くという利点があるが、これだけのロケ、人、馬をかけて日本国内だけにしか通用しないというのは興行的に成功しなそうだなぁ、とちょっと心配。
まず弓、弩弓、投石器で弾を浴びせかけた後に騎馬隊が突っ込むシーンなんて迫力あったし。ただ、あのかなり冗長な戦闘シーンを一般の人が見ておもしろいと思うかどうかは、ちょっと心配。
騎馬部隊の後ろに歩兵が控えていたり、弩弓や投石器など飛び道具が充実してる甘州ウィグルがやられる所はどうも納得いかなかったが(感情的に)。だいたい何でウィグルが城を守っているのかという。甘州なんて住民は漢人なんだろうから、不利だったら城も町も捨てればいいのに。冒頭に出てた地図の上だともっと西の方もウィグルの領土になってた事だし。
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