映画「ブラック・シー」
2014年アメリカ/UK/ロシア
監督:ケヴィン・マクドナルド
キャスト:
ロビンソン…ジュード・ロウ
レイノルズ…マイケル・スマイリー
レフチェンコ…セルゲイ・コレスニコフ
ババ…セルゲイ・ヴェクスレル
モロゾフ…グリゴリー・ドブルィギン
フレイザー…ベン・メンデルソン
トビン…ボビー・スコフィールド
ダニエルズ…スコット・マクネイリー
1941年、まだソ連が中立であった頃、ドイツへの融資として金塊四トンを積んだUボートがセバストーポリから出発したという。この潜水艦は途中で沈没して、今もなお黒海に沈んでいる。民間のサルベージ会社アゴラ社が沈没地点を見つけ出したが、その地点は昨今のグルジア(ジョージア)とロシアの紛争のためにどちらの領有が不明確になっている地点だった。
アゴラで11年働いたものの、時代が変わってお払い箱になったロビンソンは、この金塊の話をかつての仲間から聞きつけ、引き揚げて人生の一発逆転を狙う。
...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。
非常にセンシティヴな所を舞台にした映画だなぁ。
まず、セバストーポリでウクライナ海軍から錆サビの潜水艦を買ってる(たぶん横流し)けど、これが例によってクリミア半島にある訳でしょ。Uボートが沈んでいる地点は上述のようにロシアとグルジアの領有があいまいな地域。というか、アブハジアの問題で沖合もなんかやばそう。そして、潜水艦は金塊を手に入れてサムソン(トルコ)の港に逃げて行こうっていうんだから。…まぁ、ロシアはほとんどすべての周辺国と紛争抱えてるんだなーとも言えるけど。
こういう領有権・権利関係の入り組んだ所にこそ一攫千金のチャンスありって事で、映画の舞台になりやすいんでしょうな。
出資者の意向で不本意ながら潜水艦に乗ることになったダニエルズがかなりのクズで、足を引っ張ること引っ張ること。半分魚と言われるくらい海の中では頼れるものの、すぐ人を刺すなど人格に問題ありのフレイザー(そのために何度も刑務所に入っているくらいだ)や、いかにも荒くれ者の海の男のロシア人たちなど、登場人物が心安まらない野郎ばっかりってのが。中でも、ロビンソンが一番狂気を感じて恐くなっていく。ジュード・ロウ、こういうのもやるんですな。かなりイッちゃってるので、見て安らげる映画ではないけど、これどうすんだ…ってはらはらの連続から、ちゃぶ台返しのように一気に終息に向かうストーリィはすごい。
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