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2017年10月29日 (日)

映画「パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間」

パークランド―ケネディ暗殺、真実の4日間 (字幕版)

2013年アメリカ
監督:ピーター・ランデズマン
キャスト:
チャールズ・"ジム"・キャリコ…ザック・エフロン
ドリス・ネルソン…マーシャ・ゲイ・ハーデン
フォレスト・ソレル…ビリー・ボブ・ソーントン
マルガリータ・オズワルド…ジャッキー・ウィーヴァー
エイブラハム・ザプルーダー…ポール・ジアマッティ
ロバート・オズワルド…ジェームズ・バッジ・デール

 ああ、そうだろうな……。 わしらは興味本位で「ザプルーダー・フィルム」なんてモノの名前みたいに呼んでるけど、それを撮ったザプルーダーは普通の人だもんな。アレを撮っただけでもショッキングなのに、フィルムに引き起こされるあれこれに振り回されて、人生がすっかり変わってしまった。

 で、件のフィルムの公開を控えるように、強く申し入れたのはザプルーダーなんだな。人間の尊厳を踏みにじるようなシーンをみんなに見せるのは不適当って、常識人らしく思ったんだ。わからなくもない。

 この映画で描かれる病院のシーンとかすごいもん。
「これが大統領の頭蓋骨と脳の破片よ」
なんて看護婦が言っちゃうなんて、まさに「人間の尊厳」もクソもない。必死で蘇生処置をしているキャリコ医師の周辺で何も言わないけど、
「ああ、こりゃアカン……」
て雰囲気を醸し出してる血まみれのシークレットサービスとか、棺が入らずエアフォースワンの間仕切りを鋸でギコギコ挽くのとか、検死はダラスですべきとシークレットサービスともみ合って大げんかする検死官とか……。
「うわぁ……(絶句)」ってシーンが続くから、精神的に来る映画かも。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜

 実写も交えたドキュメンタリータッチのドラマ。
 J.F.ケネディが狙撃され、パークランド・メモリアル医院に運び込まれた。パレードを見物に行って、ホームビデオで狙撃の瞬間を撮ったザプルーダー。警護していたシークレットサービスがそれを見ていてすぐさま彼にフィルムを渡すように接触してきた。
病院では、まだ心臓が動いているケネディを生き返らせようとキャリコ医師が必死に治療にあたる。

 テレビで自分の弟が暗殺犯として逮捕されたことを知ったロバート・オズワルドが警察に赴くと、既に母が来ていて自分の息子は合衆国の工作員だと騒いでいる。

 FBIでは、オズワルドが監視対象になっていてぶ厚いファイルができてるくらい調べてたのに野放しにしていたことが大問題になる。しかし、もっと酷い事実が発覚して……。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜

 オズワルドの親族もエライ事になってるなぁ。
 オズワルドの兄ロバートは常識人だけど、母のマルガリータはちょっと変わり者……というか陰謀論者なのね。言うことなすこと全てイラッとする。オズワルドもパークランド病院に運び込まれてたんだな。キャリコ医師は、オズワルドも助けようとするんだけど、病院での周囲の反応や誰からも見放されてようなオズワルドの葬儀と、ケネディの葬儀が対比されてるのが効果的だった。さすがに誰も彼の葬式さえ出してやろうとしないのは哀れだよなぁ。仕方ない事かもしれないが、家族がねぇ。

 でも、日本だったらワイドショーで話題になった殺人犯の家族はもっとエライ目に遭ってるだろうけどな。家族ってったって本人とは別の人なのに失職、家族離散、自殺まで追い込むなんてザラだもんな。日本の社会ってホント陰険。その点、個人主義のアメリカだからまだましなんだろうか。

 でも、この映画を見て、ケネディ関係の極秘資料で公開されていないものがあったなんて言ったって、どうせFBIとか警察あたりの役所のぶざまな不手際が暴露されちゃう恥ずかしい書類だろ?って思っちゃう。陰謀論者が期待しているような、CIAの陰謀が赤裸々に記録されてる書類とかじゃないと思うよ。

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2017年10月18日 (水)

映画「トランセンデンス」

トランセンデンス [DVD]

2014年アメリカ
監督:ウォーリー・フィスター
キャスト:
ウィル…ジョニー・ディップ
エヴリン…レベッカ・ホール
マックス…ポール・ベタニー
ジョセフ…モーガン・フリーマン
ブキャナン…キリアン・マーフィ
ブリー…ケイト・マーラ

 AIが極限まで発達して、ある時点で人類全部の知能全部を合わせたより賢くなる。その時点をシンギュラリティ(技術的特異点)という。シンギュラリティは2045年にやってきて、それ以降の歴史は現在の生身の人類の脳では予測できないほど発展する……と言われている。
 ちうか、今の時点でもAIは十分人より賢いじゃん!

○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*

 カリスマ的AI研究者ウィルが、シンギュラリティ……ウィルの術語で言えばトランセンデンスについての講演をしている最中に、全米で同時多発テロが起きる。このテロは、AIが人間を越えるほど発達してしまうことに反対するアンチ・シンギュラリティの過激派によるもので、ウィルの同僚たち多数が犠牲になる。もちろんウィルも主要な標的の一人。

 講演会場からでたところで、ウィルもテロリストに撃たれてしまう。幸いにして致命傷には至らなかった、と思われた。しかし、弾丸には放射性物質のポロニウムが仕込まれていて、ウィルの体は放射能に蝕まれていた。彼に残された時間は2~3週間。

 ウィルを失いたくない妻のエブリンは、同僚の科学者ケーシーの遺稿を元に、ウィルの記憶や思考のすべてをスキャンし、スーパーコンピューターPINNにアップロードしようと試みる。

 しかしそれこそ、テロリストが阻止しようとしていた「自我を持ったコンピューター」の出現に他ならない。テロリストたちは、これを破壊しようとウィルたちの隠れ家を襲撃するが……。

○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*

 マインドアップローディングによって電脳空間に保存されたモノに意志はあるのか? それはオリジナルと同じ人格なのか? 肉体が滅んでも「人格」が電脳空間にあるなら、人は不死になるのか? ……「攻殻機動隊」風に言えば、「そこにゴーストはあるか?」が問われている映画……のハズ。 

 まぁ、アニメ「キューティーハニー」の空中元素固定装置よろしく、あらゆる元素を合成できるナノロボットを操り、壊された施設、ウィルと「繋がっている」人々の肉体までも再構築していくビジュアルの方が目を引く。でも、テーマ的にはそれは付随的なことだよね。ド派手なシーンとエンターテインメント性が不可欠なハリウッド映画では、なにかしらのアクションなしには済ませられないのかもしれないけどさ。

 で、アメリカの映画なので、ウィルとつながった多くの人たちの「個」の境目が浸食されて自由な意志が奪われることは、「悪」として最後は打倒されてしまう。しかもその結果は、電気も何もかもストップして、ネオ石器時代みたいになっちゃった。

 これ、ハッピーエンドじゃないよね? あるいは、AIが人間より賢くなることに漠然とした不安を覚える人たちに、むやみに抵抗して21世紀版ラッダイト運動なんて起こすとこうなっちゃうよー? と脅しつける映画だったりして。考え過ぎか。

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2017年10月16日 (月)

ドキュメンタリー「イカロス」

「イカロス」オフィシャル・トレーラー

2017年アメリカ
監督:ブライアン・フォーゲル
出演:
ブライアン・フォーゲル
グリゴリー・ロドチェンコフ

 あこがれのアスリート・ランスがドーピングをしていたことを知ったブライアン。しかしランスは、薬物検査を何度も受けたことがあったにもかかわらず、常に陰性だったのだ。
 ブライアンはアスリートの薬物検査がザルであることを自らの身体で証明しようと思い立つ。筋肉増強剤には処方箋が必要だし、ドーピング検査に引っかからないようにするには、医師の助けが必要だ。知り合いの医師に相談したものの、彼はいざドーピングプログラムを始める段階になって後込みしだした。自分の名誉が傷つくのではないかと。
 そして、代わりに彼が紹介してくれたのが、モスクワにいるグリゴリー・ロドチェンコフ。ロシアのアンチドーピング機関のモスクワ所長だった。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 最初は、「スーパーサイズ・ミー」か、ユーチューバーが「ドーピングやってみた」みたいなノリなんだよね。
 薬物検査って案外精度が思うようなモノでない、雑だったりあまりにも敏感すぎるってのは、「怪しい伝説」でもやってたっけ。アンパンの上に付いてるケシの実で麻薬反応が出て、薬物中毒の嫌疑を掛けられてクビになる「都市伝説」をウソかホントか自分の身体で実験するってヤツ。
 自分の体感でも、会社の健康診断の検査なんてあてにならんってのは思うもんね。

 そんな体当たり系のドキュメンタリーだったのが、ロドチェンコフが「自分がロシアのドーピングスキャンダルの中心人物としてドイツの映画に取り上げられたゾ」とブライアンに知らせてきた頃から、うっすらきな臭い感じになってくる。
 WADAから嫌疑が掛けられていて、自分は危険人物だなんて、ロドチェンコフは冗談めかして言ってたが、ついにはあの世界的な大スキャンダルに発展してしまう。

 しかもこれ、非常に命がヤバイ話に見える。死人が出てるし。そんな中でもブライアンは、よく友人を最後まで助けた。スポーツ・ジャーナリストで、こういう政府の陰謀を好んで追うタイプには見えなかったんだが、さすが自由の国アメリカのジャーナリストだって思った。

 あと、ロシア的なことをアメリカ的な解釈で見ている感じがする。ロドチェンコフが、「WADAは宗教だ」って言ってるところをみると、二重思考ってのは、二重信仰と関係あるのかもな。本音と建て前が大きく乖離していても、特に矛盾を感じないっていうのは、帝政ロシアの昔から言われていることだから、社会主義時代とは関係なく、国民性のようなもんなのかも。

 あ、でも本音と建て前が全然違うのは、日本人も同じか(笑)。

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2017年10月 8日 (日)

映画「叙情」

叙情

2016年ロシア
監督:ニコライ・ブルラク
キャスト:
ゲンナディー・シーモノフ…セルゲイ・ヴァルチュク
シーモノフのファン…ガリーナ・ボカシェフスカヤ
プロデューサー…セルゲイ・ノヴォジロフ
アリビナ・ガリャーモヴァ…ダーシャ・サヴェリエヴァ
監督…アレクサンドル・テューヒン
スタス…マクシム・コロソフ
ヴァシリッサ・ブベンツォーヴァ…リーザ・アルザマソヴァ
審査員長…ユーリィ・チェルノフ

3話オムニバス形式、ちょっとほっこりする感じのコメディー。

第1部
ソ連時代はとても有名だったけど、今はすっかり落ちぶれた俳優のシーモノフが久々に地方巡業(ブラゴヴェシェンスクらしい)にお呼びがかかり、行ってはみたものの誰も彼を知らなくて情けなくなるが……というちょっと良い話。

第2部
大道具係のガリャーモヴァがなぜか舞台を仕切ってる。ボクシングのセコンドかってほど、俳優同士の殴り合いを焚きつけ、監督も匙を投げるドタバタに。

第3部
かわいいけど演技が下手な女優ヴァシリッサに惚れたディレクターのスタスが、あらゆる手を使って彼女に賞を取らせようと奮戦する。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜

1は良かった。何かに打ちこんだことのある人なら感じるところがあるはず。これをシメにした方が良いんじゃないかなぁ、と思った。
2は声当てる人次第かも。ガリャーモヴァの関西のおばちゃんみたいなノリと妙な間はおもしろいけど、実際にあんなに引っかき回したんじゃ舞台が成り立たない(笑)。
3は、ヴァシリッサがアホの子っぽくて、コイツに大きな賞あげちゃいかんだろ、となんか同情できなかったなぁ。しかし、男はかわいい子に弱いから。

「ロシア映画祭 in 東京」で上映されたもの。で、字幕もなんか素人っぽいというか、普通の人がやったのかもしれない。普段自分たちは、「字幕日本語文法」的なものに慣らされているんだなぁ、と思えて新鮮だった。

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2017年10月 4日 (水)

映画「テキサスタワー」

テキサスタワー [DVD] [Import]

2016年アメリカ
監督:キース・メイトランド
キャスト(声):
クレア・ウィルソン…ヴァイオレット・ビーン
ラミオ・マーティネス…ルイ・ア-ネット
ヒューストン・マコイ…ブレア・ジャクソン
ニール・スペルス…モンティ・ミューア
アレン・クラム…クリス・ドゥベック

 1966年8月1日、テキサス大学構内にある時計塔26階からの銃撃で、学生など16名が死亡、30名以上が負傷したテキサスタワー乱射事件。
 リアルなテクスチャのアニメと記録映像、実際の録音で事件を再現するドキュメンタリー。インタビューに答えている人たちの多くも既に鬼籍に入っており、今元気な人も事件についてはあまり語りたがらない。

 事件に巻き込まれた人たちがインタビューに答えていくという、TVのドキュメンタリー番組でよくある感じなんだけど、そのインタビューや事件の再現映像部分がアニメと記録映像の入り交じったものになってる。
 インタビューのアニメでは、登場人物は当時の年齢で再現されているから、事件の記憶が生々しい時期に作ったみたいな臨場感。実際は事件から50年も経っているんだけど、あとの方で出てくる本物のインタビュー映像を見る限りでは、事件現場にいた人たちにとっては、いまでも鮮明に記憶されているもののようだ。

 しかし、何と言ってもアニメの功績は、クレアがトムと出会う場面のサイケデリックな色合いで表現された心象風景。運命の人に出会ったー!ってバラ色な感じがすごく伝わってくる。それだけに、切なさもひときわ。

 犯人については、最後までほとんど何も説明されない。射殺されちゃったから、わからずじまいってこともあるんだろうかね。社会の問題だとはいうけれど、捕まえて徹底的に動機を解明し、対策を練らないなら、同じような事件は繰り返されるんじゃないかと思うんだが……。航空機事故の調査では、犯人捜しでない調査をあんなに徹底的にやるのに、なぜ、銃犯罪は射殺しておしまいにしてしまうんだろうかなぁ。

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