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2018年2月 6日 (火)

映画「ザ・ウェイブ」

「ザ・ウェイブ」オフィシャルトレーラー

2015年ノルウェイ
監督:ローアル・ユートハウグ
キャスト:
クリスティアン・エイキョルド…クリストッフェル・ヨーネル
イドゥン・カールセン…アーネ・ダール・トルプ
ソンドレ…ヨナス・ホッフ・オフテブロ
ユリア…イディス・ハーゲンラッド=サンデ
アルヴィド・オヴェルボ…フリチョフ・ソーハイム
マーゴット・ヴァルダイ…ライラ・グッデイ

 ノルウェイのフィヨルドは相変わらず美しい。
 でも、U字型にえぐれた地形は、確かに、崩落したら即海だ。切り立った山を真っ二つに引き割くかのように稜線に走るクラックが恐ろしい。山半分の土砂が一気にフィヨルドになだれ込んだら……。

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 ノルウェイには、崩落の危険性がある山が300ある。そんな山の一つがある、ガイランゲル(ノルウェイに実在する村)の観測所に勤めていたクリスティアンは、石油会社に転職することになった。

 ところが、観測所へ行く最後の日に、気になる地下水の変化が観測された。
 クリスティアンの家族……妻のイドゥンと息子ソンドレ、娘のユリアは今の家に愛着がある。それなのに、引っ越しの荷造りは彼ら任せ。あの観測結果がどうしても気になって、クリスティアンは上の空だ。結局、観測所に舞い戻って(子供たちを放り出して!)アルヴィドやマーゴットたち同僚に危険をまくし立てる始末。

 アルヴィドたちになだめられ、子供たちのもとに戻ったものの、子供たちは待ちくたびれて母の勤めるホテルに行ってしまっていた。ますます、イドゥンと険悪になるクリスティアン。
 その日は出発できずに、もう一日ガイランゲルに留まることになったのだが、その晩、遂に山が崩落する……。

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 クラックの観測は今も行われているそうだし、まだ起こっていない津波だけれど、これこそ本当の「実話に基づく」映画だよな。
 泡だち逆巻く津波が恐ろしい。土砂が「流れ込む」なんてもんじゃない。バケツをひっくり返したようとはまさにあのこと。落ち込んだ土砂あのまんまが滝のような壁になって押し寄せてくる。津波に魅入られたようにマリアが立ち尽くしているのは、ディザスター映画のお約束で、画面のこっちから見ていると、
「ばかばかぁ、見てる暇あるか! 逃げろぉ!」
とイライラするけど、ああなっちゃうのはわかるなぁ。自分もそうなるかもしれんし。あんなの目の前に来たら足がすくむ。

 しかし、警報が鳴ってから10分じゃ、逃げる暇ないんじゃないの?
 この映画みたいに警報聞いて何だろうと外へ出てみたり、ホテルの客室を回って全員を起こしてたり、ぐずぐず言う客と口論してたりしたら、その間にバス手配して急いで乗って避難しても、出発するまでに10分くらいかかっちゃうよね?
 聞いた瞬間に脊髄反射で走り出せたとしても、海抜80mまでなめる津波だよ? きつくないか?

 あの気の毒な夫婦は、同情とか義侠心とか、平時の道徳なんてかなぐり捨てて逃げろ、という教訓なのかもしれないな。まさに「津波てんでんこ」。

 山が崩れて津波、というのはノルウェイの人たちにとっては、最も身近に迫った災害に感じられるんだろうか。チケットの売り上げは80万枚を越え、これはノルウェイ国民の6人に1人がこの映画を見た計算になるんだとか。

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