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2018年2月 8日 (木)

映画「フューリアス 双剣の戦士」

フューリアス 双剣の戦士 [DVD]

Furius

2017年ロシア
監督:ジャニク・ファイジエフ/イヴァン・シュルホヴェツキー
キャスト:
エフパーチー・コロヴラート…イリヤー・マラコフ
バトゥ=ハン…アレクサンドル・ツォイ
カルクン…小アレクサンドル・イリイン
ラーダ…ユリヤ・フルィニナ
ナースチャ…ポリーナ・チェルヌィショーヴァ
リャザン公ユーリィ…アレクセイ・セレブリャコフ
ネストル…アレクセイ・ヴェルトコフ
スブダイ…ダウレト・アブドィガパロフ

 こっわ~。
 バトゥ恐わわわ。怒らせちゃいかんヤツを怒らせちまった感がよく出てる。……って喜んでいる場合じゃないわ!
 スブダイ(スベエテイ)には思い入れがあるのでちょっとかわいそうだったなぁ。最初に出てきたところでいやな予感はしてたんだ。だって最初の場面で主人公を殺しかけるってある意味高々と掲げられたフラグじゃん!(演じている役者さんは、「オルド」や「マルコ・ポーロ」「レッド・ウォリアー」「ダイダロス 希望の大地」にも出ているらしい……もう一度見てみるか)。

 バトゥは黄龍の刺繍されたガウンを引っかけてると皇帝みたいだよ。または、映画「300〈スリーハンドレッド〉」のペルシャ皇帝・クセルクセス?
 やっぱり、すごく偉そうなんだよね。何で偉そうなんだろうかね。大ハーンじゃないのに、大ハーンより威張ってそう。

 でも、トレーラーやパンフにあるアオリの「極悪非道で知られる」って感じじゃなかった。

 ステレオタイプで描かれるモンゴルのハーンのように、酒食にふけってるわけでもなし。マンジャニーク(投石機=catapult)の模型を使って戦術でも研究してるのか書き物してたり、お忍びで軍団内の様子を見て回ってたり、戦争に真摯に取り組んでいるように見えた!
 「マルコ・ポーロ」のフビライよりよほどストイックだよ。それに、あのアメリカのドラマのように「皇帝がそんなことするか?」ってなことはしないから、ある意味ホッとした。アメリカ人には、「皇帝」についての皮膚感覚がないのかもねぇ。

……とバトゥの事ばっかり書いて、感想が終わってしまった。

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 リャザン公国のユーリィ公(クニャージ)の守備隊長、コロブラートは13歳の時、モンゴルの部隊に遭遇して殺されかけ、命は助かったものの記憶に障害が残っている。いったん眠ると、13歳の時まで記憶が戻ってしまうのだ。

 1237年の冬、バトゥ率いるモンゴルの軍勢がリャザンに接近しているとの報を受ける。リャザンはどう対応するか迫られる。戦争か降伏か。交渉の余地があるかどうかを探るため、ユーリィ公は息子フョードルを使者としてバトゥの本営に遣ることにした。その護衛には、最強の戦士コロブラートを付けた。しかし、この一行、フョードルはじめ、みな血の気が多い。バトゥと交渉するどころか、喧嘩を売ってしまい、乱闘の中でフョードルは殺されてしまう。

 生き残った者たちは、ロシア人もびっくりの猛吹雪に遭遇。隠遁している聖者ネストルと大熊の導きでなんとか彼の洞窟に避難することができた。吹雪が過ぎるのを待って帰り着いてみると、リャザンは完全に破壊し尽くされた後だった……。

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 「ロシア人は大砲を偏愛している」なんて言われるけど、カタパルトで砲撃しまくるシーンが多いこの映画を見ると納得せざるを得ない(笑)。

 ラストシーンはわかりにくかったけど、5年後って言ってたから、アレクサンドル・ネフスキーの「氷上の戦い」だな。ドイツ騎士団を前にしてコロヴラートを回想して
「あの時は……」
って言ってるんだよね。なぜかモンゴルにはやられたけど、ドイツには勝つ!って〆になるパターンが多いような気がする。不思議に思ってたけど、モンゴルとの戦いは内政問題だととらえられているからなんだろうか。まぁね、今やロシアの国防相もトゥバ人(旧称ウリャンハイ)なことだし……。

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2018年2月 6日 (火)

映画「ザ・ウェイブ」

「ザ・ウェイブ」オフィシャルトレーラー

2015年ノルウェイ
監督:ローアル・ユートハウグ
キャスト:
クリスティアン・エイキョルド…クリストッフェル・ヨーネル
イドゥン・カールセン…アーネ・ダール・トルプ
ソンドレ…ヨナス・ホッフ・オフテブロ
ユリア…イディス・ハーゲンラッド=サンデ
アルヴィド・オヴェルボ…フリチョフ・ソーハイム
マーゴット・ヴァルダイ…ライラ・グッデイ

 ノルウェイのフィヨルドは相変わらず美しい。
 でも、U字型にえぐれた地形は、確かに、崩落したら即海だ。切り立った山を真っ二つに引き割くかのように稜線に走るクラックが恐ろしい。山半分の土砂が一気にフィヨルドになだれ込んだら……。

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 ノルウェイには、崩落の危険性がある山が300ある。そんな山の一つがある、ガイランゲル(ノルウェイに実在する村)の観測所に勤めていたクリスティアンは、石油会社に転職することになった。

 ところが、観測所へ行く最後の日に、気になる地下水の変化が観測された。
 クリスティアンの家族……妻のイドゥンと息子ソンドレ、娘のユリアは今の家に愛着がある。それなのに、引っ越しの荷造りは彼ら任せ。あの観測結果がどうしても気になって、クリスティアンは上の空だ。結局、観測所に舞い戻って(子供たちを放り出して!)アルヴィドやマーゴットたち同僚に危険をまくし立てる始末。

 アルヴィドたちになだめられ、子供たちのもとに戻ったものの、子供たちは待ちくたびれて母の勤めるホテルに行ってしまっていた。ますます、イドゥンと険悪になるクリスティアン。
 その日は出発できずに、もう一日ガイランゲルに留まることになったのだが、その晩、遂に山が崩落する……。

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 クラックの観測は今も行われているそうだし、まだ起こっていない津波だけれど、これこそ本当の「実話に基づく」映画だよな。
 泡だち逆巻く津波が恐ろしい。土砂が「流れ込む」なんてもんじゃない。バケツをひっくり返したようとはまさにあのこと。落ち込んだ土砂あのまんまが滝のような壁になって押し寄せてくる。津波に魅入られたようにマリアが立ち尽くしているのは、ディザスター映画のお約束で、画面のこっちから見ていると、
「ばかばかぁ、見てる暇あるか! 逃げろぉ!」
とイライラするけど、ああなっちゃうのはわかるなぁ。自分もそうなるかもしれんし。あんなの目の前に来たら足がすくむ。

 しかし、警報が鳴ってから10分じゃ、逃げる暇ないんじゃないの?
 この映画みたいに警報聞いて何だろうと外へ出てみたり、ホテルの客室を回って全員を起こしてたり、ぐずぐず言う客と口論してたりしたら、その間にバス手配して急いで乗って避難しても、出発するまでに10分くらいかかっちゃうよね?
 聞いた瞬間に脊髄反射で走り出せたとしても、海抜80mまでなめる津波だよ? きつくないか?

 あの気の毒な夫婦は、同情とか義侠心とか、平時の道徳なんてかなぐり捨てて逃げろ、という教訓なのかもしれないな。まさに「津波てんでんこ」。

 山が崩れて津波、というのはノルウェイの人たちにとっては、最も身近に迫った災害に感じられるんだろうか。チケットの売り上げは80万枚を越え、これはノルウェイ国民の6人に1人がこの映画を見た計算になるんだとか。

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2018年2月 1日 (木)

ドラマ「マンハント: ユナボマー」

ドラマ「マンハント: ユナボマー」オフィシャルトレーラー

2017年アメリカ
原作・製作:アンドリュー・ソドロスキー/ジム・クレメンテ/トニー・ギッテルソン
キャスト:
ジム・フィッツジェラルド(フィッツ)…サム・ワーシントン
テッド・カジンスキー(ユナボマー)…ポール・ベタニー
スタン・コール…ジェレミー・ボブ
フランク・マカルパイン…ブライアン・F・オバーン
ドン・アッカーマン…クリス・ノース
ナタリー…リン・コリンズ
デーヴィッド・カジンスキー…マーク・デュプラス

 いやはや、ユナボマーの事件が担当したプロファイラーが精神汚染(エヴァンゲリオン的に言えば)されちゃうようなケースだったとは知らなかったなー。何年も捕まらない爆弾魔、捕まえたら解決のように思ってたけど、終わりじゃなかった。プロファイラーの方が壊れちゃってる所から始まるんだからびっくりよ。
 しかも、ユナボマーのあの似顔絵は印象的だったから、覚えているけど、それが「歪められた」というか、記憶のイタズラの産物で犯人とは似ていなかったとは。


これ。似てないんだってよ。

 それにしても、フィッツのユナボマーへの執着は異常だよね。特にテッドの手紙を内緒で見せてもらったあたりの興奮ぶりにはどん引き。
 この辺で、子供を放り出して妻に見捨てられ、せっかく力を貸してくれた同僚をクビ(降格?)に追い込み、デーヴィッドの家に強引に押しかける。ユナボマーの文章を読みすぎてその気持ちにより添いすぎている匂いもする。
 ここのフィッツの暴走が裁判の鍵になり、フィッツが冒頭で森の中に一人でいる理由にも繋がるから、ことさらに印象的にという演出なんだろうが、まじイッチャッタ人みたいで怖い。

 このドラマで興味深かったのは、言葉が犯人特定に重要な役割を演じた初めてのケースだったというところ。「個人言語」とか言ってたかな? 個人によって使う単語や単語の並べ方、綴りの間違いのクセ、文章の書式などなどを分析して、指紋のように個人の刻印をあぶり出すっていうの。経験的には、「あの人の書いたもんだ」って文章の癖はわかるけど、それを犯罪捜査に使って犯人を見つけ出すには、刑事の「勘」では証拠にならないからねぇ。
 今だと、FBIとかNSAあたりでコンピューターで瞬時に分析してそう。

 この手法を歴史的文献に使ったら、『集史』イスタンブル写本のテヘラン写本より増補されているところが、ラシード本人の物かどうかわかるんじゃない?とか思ったりして。でも、『集史』自体が何人かで書いたんだろうから、無理なのかな。とりあえず、FBIとかで使ってるコンピューターにかけてどんな答えが出るか見てみたいもんだ。

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 1995年のユナボマー逮捕時と1997年の裁判時の二つの時間が交互に進む。
 1995年、6年間活動を停止していてもう死んだと思われていた連続爆弾魔・通称ユナボマーが再び爆弾を送り始めた。17年間にも渡って爆弾を大学(UNiversity)や航空会社(Airline)に送りつけていたのでユナボマーという名が付いた。全く進展しない捜査に、新しい視点をとり入れようと年はいっているけど新人のプロファイラー・フィッツジェラルド(フィッツ)が配属されてきた。

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 最後は、テッドが哀れに思えるくらいだったから、あの判決は正解なんだろう。死刑にしろってむやみに言う輩がいるけど、テッドの場合は死刑より酷い刑だってのがわかる。死刑にならないって気付いて自殺しようとするくらい嫌ってた刑だもん、これなら被害者も納得だと思う。
 テッドは世間に変人扱いされてても、子供の頃から好きだった森の中の小屋で、例の声明文の理想通りの生活をしていた。ある意味、彼が新聞掲載させた論文(?)の理想通りの生活ができていたんだから。テッドは「こんなはずじゃなかった」って言ってるけど、充分理想の隠遁生活に見えるんだけど? 自然の中の暮らしはむしろうらやましいくらい。それほど恨みが深くて爆弾を送らずにはいられなかったって事だろうけどねぇ。

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