映画「1944 独ソ・エストニア戦線」
2015年エストニア/フィンランド
監督:エルモ・ヌガネン
キャスト:
カール・タミク…カスパル・フェルベルク
ユーリ・ヨギ…クリスティアン・ウクスクラ
アイノ・タミク…マイケン・シュミット
1991年、ソ連崩壊にともない、「再独立」を果たしたエストニア。
バルト三国の一番北に位置し、フィンランド湾を隔てたすぐ隣のフィンランドと民族的にも言語的にも近く、今ではすっかり北欧の国の一員に。
「再独立」から四半世紀しかたっていないのに、今や日本を遥かにしのぐIT先進国。例えば、スカイプを生み出したり、シリコンバレーで採用されるような先進的ロボット宅配用UGVを生み出したり。
こういった新しいモノを生み出し、素早く世界に送り出すスピード感も、お役所のIT化がめちゃくちゃ進んでいることに起因しているらしい。
日本の役所が因循姑息なやり方で、改革を先延ばしにしているうちにすっかり追い抜かれた。
「エストニアは小国だからドラスティックな改革ができた」って言う人もいるかもしれないけど、それはおかしいでしょ。人口が多く経済の大きな国ほど規模のメリットが効いてくるんだから、大きな国の役所ほど電子化効率化しなけりゃあかんやん。
エストニアが古いシステムを惜しげもなく捨て、先進システムに一新することができたのは、ソ連に押しつけられたシステムなんて、むしろ一刻も早く捨て去りたかったからだろ、と思っていた。
でも、どうやらソ連に対する思いは、ちょっとやそっとの生やさしいことじゃなかったみたい。
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1944年、タンネンベルグで戦うドイツのエストニア人部隊。うねうねと迷路のように掘り込まれた塹壕の中で、カールたちの部隊は赤軍と戦っていた。
カールは、おじさんの忠告を軽視して、摘発があることを家族に知らせずにいたために、彼らがシベリア送りになったとの自責の念から、ドイツ軍に志願したのだ。激しい戦闘や戦闘の合間のわずかな気のゆるみから、次々と戦友たちが死んでいく。ドイツ軍が劣勢になるにしたがい、エストニア人の部隊も撤退することになった。タルトゥに向かう途中、塹壕を掘って赤軍を待ち受けていると、やってきたのは赤軍のエストニア人部隊だった……。
赤軍兵士として戦闘に参加していたユーリ。「君は前途有望だから」とか何とかで、政治将校に目を付けられてしまった。まぁ、要するに部隊内のスパイになれってわけだ。ドイツ軍を追って森の中を進むうちに、ドイツ軍の制服を着た16、7歳の少年たちを発見。ドイツ軍に無理矢理に徴兵されたので家に帰りたいと懇願する少年たちを射殺するよう、政治将校はユーリに命じる……。
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なんかいろいろダメだよね。両軍の兵士にハムだのパンだのを提供していた農民の夫婦もあれきっとシベリア送りか銃殺かろくでもないことになるんだよ。
信念を持ってと言うか、宗教のように盲目的に信じ切ってコミュニストなり、ナチスになりになってるなら、敵に殺されても本望かもしれんけど、普通の人はただ幸せに暮らしたいだけだもんなー。これじゃあ、うまく立ち回ろうとしてもしなくても、無理だよな。下手すると、最初にシベリアに送られた家族が一番幸福だったってことになりかねん。
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