ケサランパサラン。
子供の頃、流行った。テレビで見たのは、ウサギの毛皮のような感じで丸くなったヤツ。そのタイプは実物を見たことはないけれど、綿毛のようなのをケサランパサランという地方もあるらしく、それっぽいの(明らかにアザミの綿毛だろ、とは思ったが)を捜しては捕まえて、おしろいをやって飼ってる子もいた。
形はいろいろでも、おしろいを食べて増える、幸運をもたらす、毛というのが共通するナゾの生き物?だったと思う。
名前がカタカナなのに、その割には昔からの言い伝えとかがあって、そのミスマッチというかアンバランスさが何とも言えず不思議魂(笑)をくすぐったもんだった。
最近、日本ケサランパサラン協会の公式サイトを見つけて、おっ、懐かしいと思って読んでいたら、ケサランパサランの正体についてまとめられているところを見てあっと思った。
ケサランパサランの正体とは…「家畜動物の腸内結石」…つまり、ジャダ=タシ(ジャダ石)だというのだ。
しかも広辞苑に出ているって。
>ヘイサラ‐バサラ
(pedra bezoar ポルトガルの転) 牛や馬の腹の中から出る結石。赤黒色で、解毒剤として用いられた。馬石記「彼の>馬玉の記に、
和漢にて鮓答(サトウ)といひ天竺(テンジク)にて―といふ」
広辞苑より引用
さ、さとう…ジャダじゃん!
>さ‐とう【鮓答・鮓荅】‥タフ
馬・牛・羊・豚などの胆石、または腸内の結石。生薬とする。牛黄(ゴオウ)。馬の玉。ヘイサラバサラ。ドウサラバサラ。
広辞苑より引用
ジャダ石を使って雨を降らす方法は、テュルクに限らず、草原に広く伝わっている。
例えば、トルイが金を攻略したときにカンクリ人に命じてジャダ術…特殊な石(ジャダ石)を水に浸して真夏に吹雪を起こさせた、という。(ドーソン著・佐口透訳注「モンゴル帝国史2」平凡社東洋文庫pp.351-354.)
戦時に使うと記録に残りやすいけれど、そうでなくても雨が定期的に充分に降るとは限らない草原では、貴重な雨を降らす力って、とてもありがたいものだったに違いない。
大切な雨をもたらすもの…。
それがめぐりめぐって日本にやってきて、「幸運をもたらす」というケサランパサランの性格に残っているとしたら、とてもおもしろい。
参考文献:
岩井大慧「遊牧民族鮓荅資料匯集」遊牧社会史研究第7冊(1961年2月)
ウノ・ハルヴァ 著・田中克彦 訳「シャマニズム―アルタイ系諸民族の世界像
」三省堂
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