映画「深い河」
「深い河」トレーラー
2018年ロシア
監督:ヴラジーミル・ビトコフ
キャスト:
オレグ・グセイノフ
ルスタム・ムラトフ
ムハンマド・サビエフ
カフカスの山並みは雄大だが、そこに暮らす人間の器の小ささは、まるで日本の田舎のよう。山口のあの事件を思い出した。世界初のカバルダ語の映画だという話だが、あんまり関係なかったな。
兄のベスのように傲慢で独りよがり、人の忠告には耳を貸さず、凡夫のクセに偉そうな態度の田舎オヤジはよくいる。家族の危機を知って手助けに来た下の弟マロイにろくにやり方も教えずに、できないことをあげつらって「やっぱりダメなヤツ」と笑い物にするという性根の腐りぶりでは、誰からも恨みを買うわな。
しかも、村人が誰も彼も妬みと僻みの固まりのような酷い奴らばかりで、ベスの家族とも険悪な雰囲気。ひとり収入のあるベスの家族を逆恨みしてなにかやらかしそうなニオイがぷんぷんしている。
家族の弱い部分であるマロイが見るからに危険で、何度となく「弟ちゃん、逃げろぉ!」と心の中で叫んだよ。山口の事件だと、村八分にされた方が逆ギレして村人を殺して回った訳だが、この物語ではどうなることやら……。
題名が「深い河」って割には、川は上流域の浅く流れの速い河だし、複数形になってるけど出てくる河は1本だけ。質問コーナーで監督は、ほかの題名にしたかったが、官僚主義的あれこれで変えることができなかったとか答えていた。また、カバルダ語で川と魂は同じ発音なんだとか。リアルな河とはあんまり関係のない象徴的な題名なんだろうと思われる。
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