2018年5月17日 (木)

映画「1944 独ソ・エストニア戦線」

1944 独ソ・エストニア戦線 [DVD]

2015年エストニア/フィンランド
監督:エルモ・ヌガネン
キャスト:
カール・タミク…カスパル・フェルベルク
ユーリ・ヨギ…クリスティアン・ウクスクラ
アイノ・タミク…マイケン・シュミット

 1991年、ソ連崩壊にともない、「再独立」を果たしたエストニア。
バルト三国の一番北に位置し、フィンランド湾を隔てたすぐ隣のフィンランドと民族的にも言語的にも近く、今ではすっかり北欧の国の一員に。
 「再独立」から四半世紀しかたっていないのに、今や日本を遥かにしのぐIT先進国。例えば、スカイプを生み出したり、シリコンバレーで採用されるような先進的ロボット宅配用UGVを生み出したり。

 こういった新しいモノを生み出し、素早く世界に送り出すスピード感も、お役所のIT化がめちゃくちゃ進んでいることに起因しているらしい。
 日本の役所が因循姑息なやり方で、改革を先延ばしにしているうちにすっかり追い抜かれた。
 「エストニアは小国だからドラスティックな改革ができた」って言う人もいるかもしれないけど、それはおかしいでしょ。人口が多く経済の大きな国ほど規模のメリットが効いてくるんだから、大きな国の役所ほど電子化効率化しなけりゃあかんやん。

 エストニアが古いシステムを惜しげもなく捨て、先進システムに一新することができたのは、ソ連に押しつけられたシステムなんて、むしろ一刻も早く捨て去りたかったからだろ、と思っていた。
 でも、どうやらソ連に対する思いは、ちょっとやそっとの生やさしいことじゃなかったみたい。

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 1944年、タンネンベルグで戦うドイツのエストニア人部隊。うねうねと迷路のように掘り込まれた塹壕の中で、カールたちの部隊は赤軍と戦っていた。
 カールは、おじさんの忠告を軽視して、摘発があることを家族に知らせずにいたために、彼らがシベリア送りになったとの自責の念から、ドイツ軍に志願したのだ。激しい戦闘や戦闘の合間のわずかな気のゆるみから、次々と戦友たちが死んでいく。ドイツ軍が劣勢になるにしたがい、エストニア人の部隊も撤退することになった。タルトゥに向かう途中、塹壕を掘って赤軍を待ち受けていると、やってきたのは赤軍のエストニア人部隊だった……。

 赤軍兵士として戦闘に参加していたユーリ。「君は前途有望だから」とか何とかで、政治将校に目を付けられてしまった。まぁ、要するに部隊内のスパイになれってわけだ。ドイツ軍を追って森の中を進むうちに、ドイツ軍の制服を着た16、7歳の少年たちを発見。ドイツ軍に無理矢理に徴兵されたので家に帰りたいと懇願する少年たちを射殺するよう、政治将校はユーリに命じる……。

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 なんかいろいろダメだよね。両軍の兵士にハムだのパンだのを提供していた農民の夫婦もあれきっとシベリア送りか銃殺かろくでもないことになるんだよ。

 信念を持ってと言うか、宗教のように盲目的に信じ切ってコミュニストなり、ナチスになりになってるなら、敵に殺されても本望かもしれんけど、普通の人はただ幸せに暮らしたいだけだもんなー。これじゃあ、うまく立ち回ろうとしてもしなくても、無理だよな。下手すると、最初にシベリアに送られた家族が一番幸福だったってことになりかねん。

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2018年5月 8日 (火)

「部族篇1」増補改訂版できました

 こっこっこっこっこけっこー! 校正終わったぁ!
『モンゴル史』「部族篇1」の増補改訂版の校正ができましたぞ。

 どの辺が増補なのかっていうと、今までの「部族篇」へ向けての序の前に、ラシードの『集史』全体への序文……ガーザーンに捧げた序文に加えて、オルジェイトゥとの対話が入っている……を新たに訳したところが『増補』なのです。ちなみに、分量は2倍以上に増えました(にゃー)。

 増えた文の半分くらいはガーザーンを讃える文? あとの半分はオルジェイトゥを持ち上げるフダーバンダ(意味不明)?
 これ需要あんの??? と思わなくもないですが、「部族篇1」はどういうわけか、すぐなくなっちゃうので、どちらにしろ増刷はしなくちゃならなかったわけです。

 まぁ、どういう経緯で、どんな目的で『集史』全体ができあがったのかっていう説明が書かれているので、資料の性格を知る上では知っておいた方がいいかもです。
 あと、全体の目次が付いているので、「部族篇」訳し終わってもうやるべきことは終わったような顔をしている人がいるけど、そんなの『集史』全体のほんの一部だってことがバレますな(笑)。でもまぁ、漢文史料が読めないので、「チンギス=ハン紀」とか「クビライ=カァン紀」とかできる訳ない。そもそもロシア語版だって『集史』全体でなく『モンゴル史』部分しかないので、充分がんばったと思う。

 ベーシックインカムでも導入されれば、働かずにこの続きをやって暮らすのだけれど、生きているうちには間に合いそうもないですな。

 というわけで、完成記念に「ラノベのようにすらすら読める集史」シリーズも「部族篇1」をアップしました。ただし、こちらは今回増補した分は入っていません。夏まで待てないという方は、こちらをぱらぱらめくってお待ちくださいましまし。

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2018年5月 7日 (月)

映画「クローズ・デイ」

クローズ・デイ [DVD]

2013年ロシア
監督:オレーク・アサドゥリン
キャスト:
ダーシャ…マリヤ・ピロゴヴァ
サム(イェゴール)…パーヴェル・プリルチヌィ
ミーシャ…マカール・ザポロジスキー
魔法使い…ピョートル・セマク
リリー…パウリーナ・アンドレーヴァ
タマーラ…アリサ・ハザロヴァ

ダーク・ワールド」の続編だが、あまり繋がっていない。 共通しているのは闇の世界の住人の戦いを描いているって点だけ。こっちの世界を守ろうとしている特殊能力の持ち主たちは、全く別のチームって感じで、ぜんぜん前作と関係ないんだよね。あの太古の森の中のような雰囲気がよかったのに、今度のは全くの学園ものになっていてチープに感じた。これ絶対ロケの予算とかケチっただろって思ったけど、制作費は大幅に増えてるみたい……? どこに金使ったんだろ? ……CG? 大学の地下のセット?……謎だよな。

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 ダーシャは子供の頃、不思議な体験をした。スクールバスが奇怪なモノに襲われ、彼女だけ川に転落。溺れそうになりながら、知らない男の人からペンダントをもらったのだ。

 大学生になったダーシャは、教習所で車の運転をしているときに、またもや不思議な体験をする。無茶振りしてくる教官のせいで、対向車に激突。
……したかに思えたが、はっと気づくと公園で車のおもちゃで遊んでいた。でもそのリアルすぎる感触に戸惑い、自室に帰ってからもどうしても納得できずにいる。ふと気づくと、子供の頃からもっていたあのペンダントをなくしていることに気づく。

 ペンダントを探していると、教官が道端に立っている。
「このペンダントは全能の目だ」
と言ってペンダントを返してくれた。いつ拾ったのだろう? やっぱり、今日は教習に行ってて、事故に遭ったのか? 不思議に思いながらも、ペンダントを受け取ると、ダーシャに何か不思議な感覚が目覚めた。どうやら、人間の生気を吸う闇のバケモノが見えるようになったようだった。

 その闇の者の行く先に、そいつらと女性が立ちはだかる。実は、教官も闇のものと戦う人間の一人だったのだ。そして、ダーシャは闇の世界の入り口の一つが、彼女の通っている大学にあることを知らされる……。

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 モスクワに闇の世界を現出させるために使われる「七つの高層建築」って、例のスターリン・ゴシックの七つの建物だね。と、いうことは舞台になっているのはモスクワ大学? 名前出てこなくても明白だよね。
 モスクワ大学って、もっと格式高い所かと思ってたけど、こんなちゃらい学生ばっかりなのかー、とちょっと拍子抜けした。

 この映画で大学の地下にある闇の世界の扉を守っているのが、スターリン時代にこの大学の建設に携わっていた建築労働者のおっちゃんたち。これはたぶん、「モスクワ大学の地下には、建設に当たった囚人たちが埋まっている」っていう都市伝説(あくまで都市伝説で本当ではない)をパロっているんだろう。

 お気楽にながら見するにはちょうどいい娯楽作品でござんした。

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2018年2月 8日 (木)

映画「フューリアス 双剣の戦士」

フューリアス 双剣の戦士 [DVD]

Furius

2017年ロシア
監督:ジャニク・ファイジエフ/イヴァン・シュルホヴェツキー
キャスト:
エフパーチー・コロヴラート…イリヤー・マラコフ
バトゥ=ハン…アレクサンドル・ツォイ
カルクン…小アレクサンドル・イリイン
ラーダ…ユリヤ・フルィニナ
ナースチャ…ポリーナ・チェルヌィショーヴァ
リャザン公ユーリィ…アレクセイ・セレブリャコフ
ネストル…アレクセイ・ヴェルトコフ
スブダイ…ダウレト・アブドィガパロフ

 こっわ~。
 バトゥ恐わわわ。怒らせちゃいかんヤツを怒らせちまった感がよく出てる。……って喜んでいる場合じゃないわ!
 スブダイ(スベエテイ)には思い入れがあるのでちょっとかわいそうだったなぁ。最初に出てきたところでいやな予感はしてたんだ。だって最初の場面で主人公を殺しかけるってある意味高々と掲げられたフラグじゃん!(演じている役者さんは、「オルド」や「マルコ・ポーロ」「レッド・ウォリアー」「ダイダロス 希望の大地」にも出ているらしい……もう一度見てみるか)。

 バトゥは黄龍の刺繍されたガウンを引っかけてると皇帝みたいだよ。または、映画「300〈スリーハンドレッド〉」のペルシャ皇帝・クセルクセス?
 やっぱり、すごく偉そうなんだよね。何で偉そうなんだろうかね。大ハーンじゃないのに、大ハーンより威張ってそう。

 でも、トレーラーやパンフにあるアオリの「極悪非道で知られる」って感じじゃなかった。

 ステレオタイプで描かれるモンゴルのハーンのように、酒食にふけってるわけでもなし。マンジャニーク(投石機=catapult)の模型を使って戦術でも研究してるのか書き物してたり、お忍びで軍団内の様子を見て回ってたり、戦争に真摯に取り組んでいるように見えた!
 「マルコ・ポーロ」のフビライよりよほどストイックだよ。それに、あのアメリカのドラマのように「皇帝がそんなことするか?」ってなことはしないから、ある意味ホッとした。アメリカ人には、「皇帝」についての皮膚感覚がないのかもねぇ。

……とバトゥの事ばっかり書いて、感想が終わってしまった。

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 リャザン公国のユーリィ公(クニャージ)の守備隊長、コロブラートは13歳の時、モンゴルの部隊に遭遇して殺されかけ、命は助かったものの記憶に障害が残っている。いったん眠ると、13歳の時まで記憶が戻ってしまうのだ。

 1237年の冬、バトゥ率いるモンゴルの軍勢がリャザンに接近しているとの報を受ける。リャザンはどう対応するか迫られる。戦争か降伏か。交渉の余地があるかどうかを探るため、ユーリィ公は息子フョードルを使者としてバトゥの本営に遣ることにした。その護衛には、最強の戦士コロブラートを付けた。しかし、この一行、フョードルはじめ、みな血の気が多い。バトゥと交渉するどころか、喧嘩を売ってしまい、乱闘の中でフョードルは殺されてしまう。

 生き残った者たちは、ロシア人もびっくりの猛吹雪に遭遇。隠遁している聖者ネストルと大熊の導きでなんとか彼の洞窟に避難することができた。吹雪が過ぎるのを待って帰り着いてみると、リャザンは完全に破壊し尽くされた後だった……。

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 「ロシア人は大砲を偏愛している」なんて言われるけど、カタパルトで砲撃しまくるシーンが多いこの映画を見ると納得せざるを得ない(笑)。

 ラストシーンはわかりにくかったけど、5年後って言ってたから、アレクサンドル・ネフスキーの「氷上の戦い」だな。ドイツ騎士団を前にしてコロヴラートを回想して
「あの時は……」
って言ってるんだよね。なぜかモンゴルにはやられたけど、ドイツには勝つ!って〆になるパターンが多いような気がする。不思議に思ってたけど、モンゴルとの戦いは内政問題だととらえられているからなんだろうか。まぁね、今やロシアの国防相もトゥバ人(旧称ウリャンハイ)なことだし……。

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2018年1月23日 (火)

ハザールの「旧約的」歴史観は『集史』に影響を与えたのだろうか?

 ふぅ、ようやく『集史』の総序に当たる部分の翻訳できた。

 今かよ! おせーよ! 冬コミ間に合わなかったじゃん!……というツッコミは自分でしとくとして。

 なんか、まだ、「???」って箇所があるんだけどねぇ。とりあえずは出来た!!!

 あんまりぐだぐだやっててもしかたないんで、なんとか『モンゴル史』「部族編1」の改訂にくっつけて夏までには出したいもんだ。なぜか「部族篇1」が一番出るんだよなぁ。なんで?

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千葉県花なので(?)もう咲いてるよん

「部族編1」は、イスラム教的世界史の中に、モンゴルをどうやって位置づけるかってことでオグズ説話が出てくる章だ。

 なので、『集史』にも言及している『普遍史の変貌―ペルシア語文化圏における形成と展開―』を読み始めた。

 ところで最近、別件でハザール可汗国のことを調べていて、ハザールの可汗ヨセフがアンダルス(後ウマイヤ朝)のハスダイに出した返書をじっくり読んだ。そしたら、ヨセフが物語るハザールの位置づけが「部族篇1」に出てるオグズの位置づけによく似てるじゃあーりませんか!

 ハザールはオグズじゃないしムスリムでもないから、オグズ説話は出てこないんだけど、ハザール族の祖とされるハザールを、やはりノアの子ヤペテの曾孫の位置に入れているんだよね。オグズ(グズ)とも兄弟になってるし、よく似てるなーと思って。ひょっとして、ハザールの歴史観が『集史』に継承されているんじゃね?

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ハザールの海……ではない

 ラシードも、参考にした書物にユダヤの五書を挙げてるから、元ネタは同じなのかもしれない。そもそも、ラシードはユダヤの書物に詳しいかもしれないし。それにしても似た感じがするんだよなぁ。『王書』だと、テュルクの祖はフェリドゥーンの息子から出てるはずだから、全然ペルシャ的ではなさそう。

「普遍史」にテュルクを組み込む試みってのは、イスラム世界の世界観に先行して、ハザールのユダヤ教的世界観があったのかもしれないなー、なんて考えたりして。

『普遍史の変貌』には、その辺、書いてあるかなー? 目を皿のようにして読みますぞー。

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2018年1月 5日 (金)

バトゥの映画が来るー! 今年の「未体験ゾーンの映画たち」は見どころいっぱい

今年の「未体験ゾーンの映画たち」はなんかすごい!

草原者としては何と言っても「フューリアス 双剣の戦士」でしょう!

バトゥが出てきますよ!

しかし、説明文の「13世紀半ば、悪逆非道な暴君として知られる総司令官バトゥ率いる強大なモンゴル軍の……」にはフイター!

いやいや、一応、「サイン(良い)ハン」って呼ばれてるんですが、バトゥ……。

(先日のコミケでお隣のS-MIXさんと、「バトゥって大魔王……」って話し合っていたのはヒミツ。)

歴史モノでは、以前、ここでも紹介した「バイキング 誇り高き戦士たち」がロシア・リューリク朝時代の歴史モノ。

これも捨てがたいけど、なんとなく「アレクサンドル~ネヴァ大戦~」に似た匂いがするので、一つ選ばなければならないのなら、やっぱり「双剣の……」の方を選びたいですね。

あとは、ツィオルコフスキーやコロリョフのことを調べたところなので、「サリュート7」も捨てがたいです。

ワールドカップ効果ですかね? ロシア映画3本とは超豪華で目移りしちゃう!

歴史モノとしては、明時代の倭寇の話「ゴッド・オブ・ウォー」、ハンガリーの映画ですが、第二次世界大戦ものの「ウォーキング・ウィズ・エネミー / ナチスになりすました男」なんかも金と暇があれば、劇場でみてみたいものですが……。


↑バトゥに興味ある人はここにも出てまっせ!(CM)

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2017年12月 8日 (金)

映画「ラスト・サマーウォーズ」

ラスト・サマーウォーズ [DVD]

2015年ロシア
監督:アレクセイ・ブィストリツキー
キャスト:
イヴァン・ザベーリン…ロマン・ポリャンスキー
アレクサンドル・アンドレーエフ…アレクサンドル・アレシキン
セルゲイ・マカロフ…ヴァレーリィ・オショムコフ
アリベルト・シーリン…デニス・ポポフ
秦彦三郎…ゲン・セト
オゾヒトシ…山本修夢
オゾの妻…中村しおん

 玉音放送の前後の満州国の話かー。この辺よく知らないので、どの程度史実に合っているかわからないんだよね。日本人はそんなに悪く描かれているわけではないが、時代考証がユルユルな気がする。横書きを左から右に書いてるとことか、オゾ(どんな字を当てるか不明)が
「中国人、韓国人、ロシア人、彼らは皆、日本人が大嫌いです!」
とか言ってるとことか。韓国ができたのは戦後だろ。でもまぁ、かなり頑張った。日本人役者がたくさん出てるからかな?

 あと、関東軍の戦車の張りぼて感がすごかったが、本当に張りぼてだったかもしれないしなー。
 この頃ソ連も日本もダグラス社製の飛行機を使ってて、形では見分けがつかないからハルビンまで飛行機で潜入するって作戦なんだけど、これ本当? 教えて!ぐのたの人!

 日本だとたぶんアウトなチャンコロとか台詞に入ってるのも、ロシア映画ならではかもな。当時の雰囲気を生々しく伝えるには、聞くに堪えない汚い言葉もバンバン入ってしかるべきだろう。映画と現実の見分けのつかないアホが日本人は大陸では、常に礼儀正しく振る舞ったとか勘違いしても困るし。

 それにしてもロシアの見方がわかってなかなかおもしろかった。日本側からの見方だと、日ソ不可侵条約を破ってソ連が一方的に侵攻って見方しかされてないけど、ドイツとの戦争が終わって故郷に帰れるって喜んでる兵士にしたら、やりたくない戦争だよなぁ。しかも、天皇が無条件降伏を受け入れるって放送したあとだし。ソ連的には、世界の共産主義の盟主だから、お上の決定に逆らって満州から絶対に撤退しない覚悟の(とソ連は見ている)日本の軍隊を駆逐して、中国の独立を助けなきゃならないわなぁ。もちろん、スターリン(最後にちょっと出てくる)の意図は別にあるにしてもだ。

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 1944年にカレリア戦線で無意味な作戦で多くの部下を死なせたザベーリン。死んだと思ったマカロフとアンドレーエフはドイツ軍に捕まったあと逃げて生きていた。捕虜になったら敵国のスパイ扱いされていた時代。ドイツが降伏したあとも、彼らは名誉回復のために満州に来て死力を尽くす。これに嫌な上官や戦場で恋愛、裏切り、中国拳法ありのTVドラマっぽいストーリィ。原題は「勲章」。

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2017年12月 5日 (火)

ドキュメンタリー「ザ・スレッド」

「ザ・スレッド」オフィシャルトレーラー

2015年アメリカ
監督:グレッグ・バーカー

 2013年4月15日、ボストン、ボイルストン通り。
 多くの人が現場にいて、また、中継を通じて目撃したボストンマラソン爆弾テロ事件。
目撃しただけでなく、観客やマラソン参加者の多くが、スマートフォンなどであらゆる角度から爆発の一部始終を動画・写真に撮っていて、即座にインターネットに投稿した。

 既存のメディアが、おそらくウラ取りしていたからだろうが、「最新情報」がなかなか更新されない間に、当事者からの直の情報が続々と書き込まれるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に、多くの人のアクセスが殺到した。

 その中でも、翌日には犯人探しのスレッドの立ったことが確認されるソーシャル・ニュース・サイト、レディットでの出来事を中心に話が進むドキュメンタリー。

 レディットのスレには、既存のマスメディアよりも早く死傷者情報が流れていた。そんなことから、「既存のマスメディアの時代は終わった」と息巻くレディットの住人たちが、警察やマスメディアより先に犯人を見つけようと犯人探しに血眼になって、ネット探偵たちが自分たちの推理を顔写真、実名入りで書き込み、「犯人」と名指された人物(もちろん無関係)が、自殺死体で発見されるという最悪の結果に……。

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 なんだか日本でも見たような光景だよね、これ。

 既存のマスメディアを「マスゴミ」呼ばわりしてる連中が、しょっちゅう犯人探しして住所氏名晒す「魔女狩り」をやってるような気がする。つい最近も、ぜんぜん関係のない会社に嫌がらせ電話が掛かりまくって仕事にならないっていうニュースを聞いたばかり。まさにゲスの勘ぐり。このドキュメンタリーの中で、スレの管理人が
ここで容疑者にされた人々はほぼ確実に無実だ。無実の人間を犯罪者扱いするな。」
と警告してることが的中ってところ。まぁ、この事件は犯人扱いされた人物が、事件の起こった時には既に自殺していたってことだが、スレでの犯人捜しで自殺まで追い込まれる人だって出そうな勢いだ。どっちにしろ、この事件でも残された家族は二重に苦しめられたってことだもんな。実に無責任で酷い話だ。

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2017年12月 1日 (金)

映画「カリキュレーター」

カリキュレーター [DVD]

2014年ロシア
監督:
ドミートリィ・グラチェフ
キャスト:
エルヴィン・カン…エヴゲーニィ・ミロノフ
アンナ・クリスティーナ…アンナ・チポフスカヤ
ユスト・ボルグ…ヴィニー・ジョーンズ
マティアス…ニキータ・パンフィーロフ
大尉…キリル・コザコフ

 計算機っていうか、計算づくの男エルヴィンと、直感で彼について行く事に決めたクリスティーの逃避行。ロシアらしいブラックユーモアあふれるSF。飛行機?宇宙船?が折り紙っぽいツクリしてるところが目を引く。

 最後にネタバレ書いちゃうので、まだ見てない人はスクロールしないように(笑)。

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 人類が宇宙に進出し、天の川銀河外の惑星にも移住するようになって千年。一応、人の住める惑星とされるXT-59惑星は、危険な生物がうじゃうじゃの沼に覆われている。そのため、人の住む都市は超管理社会で、人の職場や結婚まで全てシステムが決定している。
 そんな息苦しい社会に嫌気がさしたクリスティーナ(クリスティー)は、システムによって犯罪者と認定され、都市の外、沼を渡った300km先にある希望の島へ追放されることになってしまった。クリスティーは、これはむしろ自由になれるチャンスだと喜んだが、沼には人を食う動植物が満ち、「追放」は「死刑」にも等しい極刑だった。

 前科もあるワル、北極オオカミの二つ名を持つユストが、追放される人たちを仕切り、希望の島を目指そうとするが、クリスティーは一目見て自信たっぷりのエルヴィンに付いて行く事に決めた。
 実はエルヴィンは、システムにとって重要な人物だった。システムに反逆したので追放されたのだ……。

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 ヴィニー・ジョーンズは旧ソ連諸国で人気あるのか? 前にカザフスタンの映画でも見たぞ。ロシア語は全然話せない割には主要人物でセリフ多いんだよな。というわけでアテレコになってる。ヴォイスオーバーじゃないところが今風か(笑)。

 自由のない超管理社会に反発して、苦労して苦労してその体制を倒しては見たものの、一新した社会は、以前より完璧に人間を管理するひどい体勢になっちゃったというお話。

 それって帝政ロシアからソ連へ、もしくはソ連から現在のロシアへの痛みを伴う変革を皮肉ってるんだろうな。ソ連時代のSFみたいだナ。

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2017年10月16日 (月)

ドキュメンタリー「イカロス」

「イカロス」オフィシャル・トレーラー

2017年アメリカ
監督:ブライアン・フォーゲル
出演:
ブライアン・フォーゲル
グリゴリー・ロドチェンコフ

 あこがれのアスリート・ランスがドーピングをしていたことを知ったブライアン。しかしランスは、薬物検査を何度も受けたことがあったにもかかわらず、常に陰性だったのだ。
 ブライアンはアスリートの薬物検査がザルであることを自らの身体で証明しようと思い立つ。筋肉増強剤には処方箋が必要だし、ドーピング検査に引っかからないようにするには、医師の助けが必要だ。知り合いの医師に相談したものの、彼はいざドーピングプログラムを始める段階になって後込みしだした。自分の名誉が傷つくのではないかと。
 そして、代わりに彼が紹介してくれたのが、モスクワにいるグリゴリー・ロドチェンコフ。ロシアのアンチドーピング機関のモスクワ所長だった。

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 最初は、「スーパーサイズ・ミー」か、ユーチューバーが「ドーピングやってみた」みたいなノリなんだよね。
 薬物検査って案外精度が思うようなモノでない、雑だったりあまりにも敏感すぎるってのは、「怪しい伝説」でもやってたっけ。アンパンの上に付いてるケシの実で麻薬反応が出て、薬物中毒の嫌疑を掛けられてクビになる「都市伝説」をウソかホントか自分の身体で実験するってヤツ。
 自分の体感でも、会社の健康診断の検査なんてあてにならんってのは思うもんね。

 そんな体当たり系のドキュメンタリーだったのが、ロドチェンコフが「自分がロシアのドーピングスキャンダルの中心人物としてドイツの映画に取り上げられたゾ」とブライアンに知らせてきた頃から、うっすらきな臭い感じになってくる。
 WADAから嫌疑が掛けられていて、自分は危険人物だなんて、ロドチェンコフは冗談めかして言ってたが、ついにはあの世界的な大スキャンダルに発展してしまう。

 しかもこれ、非常に命がヤバイ話に見える。死人が出てるし。そんな中でもブライアンは、よく友人を最後まで助けた。スポーツ・ジャーナリストで、こういう政府の陰謀を好んで追うタイプには見えなかったんだが、さすが自由の国アメリカのジャーナリストだって思った。

 あと、ロシア的なことをアメリカ的な解釈で見ている感じがする。ロドチェンコフが、「WADAは宗教だ」って言ってるところをみると、二重思考ってのは、二重信仰と関係あるのかもな。本音と建て前が大きく乖離していても、特に矛盾を感じないっていうのは、帝政ロシアの昔から言われていることだから、社会主義時代とは関係なく、国民性のようなもんなのかも。

 あ、でも本音と建て前が全然違うのは、日本人も同じか(笑)。

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