2019年12月 1日 (日)

モンゴル近・現代史理解に不可欠の良書・佐々木智也著『ノモンハンの国境線』

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要するに「ハルハ河が国境線である」とは馬鹿でも言えるが、その逆を言うためには専門的な知識が必要とされたのだ。しかも厄介なことにそうした専門知識は、中途半端に身に付けているとかえって危険で、間違いをいっそう強固なものにしかねないものだった。(『ノモンハンの国境線』174~175頁)

 

 これって本当に名言だと思う。一歩一歩丁寧なプロセスを経ての理解を放棄した思考停止バカがいる一方、正しいものは正しいと言う人はいた。当時の東洋学者や満鉄が正しい境界線を導き出して提示してたのには、なんだかホッとした。しかし、「結論ありき」で自分たちに都合の良い調査結果しか見ない連中が、昭和天皇の意向にさえ逆らって紛争を起こしていく。

 

 そもそも、近代国家が国家であるためには、「領土」「国民」「主権」の要件が必要……なんて中学校だかで教わったような気がするが、それなら、現在のモンゴル国の国境線にはいかなる法的根拠があるかを紐解いていく本書は、現代モンゴル国の歴史を語るに等しい。

 

 そんなわけで、『ノモンハンの国境線』は、ノモンハン事件(ハルハ河会戦)に興味のある人だけでなく、モンゴルの歴史に興味のある人が読めば、絶対、おもしろいと感じるはずだ。
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この付箋の数だけの「へぇ!」「そうだったのか!」が詰まってます!

 

 国境確定を巡る周辺国の動きは、歴史の醍醐味そのもの。その周辺国の中に、当事者として日本も関わっているから、割と流れを追いやすい。日本の近・現代史に興味のある人にも、日本史と世界史は地続きだと実感でき、複雑怪奇とも言われる20世紀はじめの世界史を理解するにも役立ちそう。

 

 しかも、条約やら協定やらのややこしい話でも、節目節目におさらいが入るので、読み進めば読み進むほど記憶が定着。あちらの国こちらの国と話が飛んでも、それらが交錯したところで、登場人物それぞれの思惑が同時にわかってくる。そうだなー、たとえるなら、全天球カメラで撮った映像をぐりぐり動かしていろんな角度から見ることができる、みたいな(笑)。なかなか巧みな語り口だと思う。

 

……なーんて「勉強に役立つ」的なお堅い話ばかりでもないんだな。「スターリンを平手打ちした男」みたいなネタかアネクドートじゃないかと疑っちゃうようなおもしろエピソード(失礼!)もぶっ込んでくるところが『ノモンハンの国境線』の読み物としてもおもしろいところ。

 

 個人的な感想としては、自分が『モンゴル史』訳しているときは、言葉を捻り出すことでいっぱいいっぱいになっているせいもあり、出てくる地名がリアルにどこにあり、どういう位置関係なのか、ほとんど注意を払っていなかったなー、と大いに反省させられた。
『ノモンハンの国境線』を読むと、モンゴル帝国時代にもよく聞く地名が出てきて興味深い。外国人の好事家にとってもこのようなのだから、現地の人ばかりでなく、モンゴルの人たちにとっての思い入れは格別だろうと想像できる。そのような「心のふるさと」を軽い気持ちで侵略してしまった日本は罪深いな。

 

p.s. 「アラシャ」と「アラシャン」と両方出てきて、自分は「アラシャン」の方が普通かと思っていて、著者にもそう言ったのだけれど、現地のモンゴル人は「アラシャ」と呼ぶそうだ。(参考:斯琴(スチン)「内モンゴル・アラシャ地域におけるアラシャ崇拝」(千葉大学『人文社会科学研究』第17号、2008年9月)による)
「アラシャン」は、外来者である漢人の呼び方で、彼らによって広がったそうな。私は戦前からのモンゴル研究の影響で、アラシャンが普通かと思ってたけど、『ノモンハンの国境線』的には「アラシャ」で統一するのが良いかもしれないね。

 

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2019年6月 9日 (日)

『大旅行記』の家島彦一氏の講演を聴きに行ったよ

第五回三笠宮オリエント学術賞授賞式の記念講演なのかな?

 家島彦一氏のイブン・バットゥータについての講演会を聴きに行ったよ。

 一般の人(私のような)も混じっているということで、あまり専門的な話ではないということだったけれども、イブン・バットゥータについて話しても話しても話し足りない、彼の旅行や手稿本について調べるのが楽しくて楽しくて仕方ない、というのがバンバン伝わってきて、平凡社東洋文庫の『大旅行記』もジョチ=ウルス関連のところしか読んでなかったけれども、そんなにおもしろいなら、他のところも読みたくなってきた(←思惑通りの反応?)。


最初から読んでみたくなってきた!

 だいたい、私の担当(?押し?)の時代は、テュルクでもモンゴルでもイスラムじゃない時代なので、イスラム世界の常識がイマイチわかっていないんだよねー。だから、ラシードの言ってることがナンノコッチャってところがある。特に『モンゴル史』第1章。『大旅行記』は註も充実しているから、楽しみながら読んでイスラムに親しんでおこう、と思った。

……てなことを考えながら地下鉄に乗っていたら、つい九段下まで乗り越してしまい、仕方なく降りる羽目に。で、久々にナウカに行ったら、オルホン、イェニセイだけでなく、タラス及びチュー、イルティシ、イリ、シル=ダリヤ、ヤイーク(ウラル)といろいろな場所で発見された古代トルコ=ルーン体(突厥)文字碑文・銘文の載ってる本があった!

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こんなヤツ↑『古代テュルク文字の歴史と理論』

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中身はこんな感じ

 昨年のウィグル・ルーン体文字碑文の薄い本を作った時は楽しかったなぁ、やっぱ突厥・ウィグル碑文関連で何かやりたいよなぁ、と思ってしまった。

 夏には、『モンゴル史4』の改訂版を準備中。そろそろこれで部族篇も完成だからと、底本になっているロシア語訳『集史』の訳者ヘタグーロフさんに関するお話「交響曲第七番 レニングラード」をweb上で読めるように公開しておいた。

 しかし、ルーン文字関連のもやりたいし、ロシア人名に関する本についても相談中だし、あれもこれもやりたいこと多すぎ(笑)。
 やりたいこと全部にどっぷり浸かれるだけの時間と体力と集中力が欲しいもんじゃのぅ。

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2018年12月31日 (月)

コミケット95ではありがとうございました

 先日のコミケット95、歴史サークル「群雄」に来てくださった皆さま、どうもありがとうございました。

Comiket95

こんな感じで、「群雄」の中でも目立つところにおいてもらいました。

 前日まで、大掃除の一環でロシアの本を干したりはたいたりしていたら、目が腫れる腫れる。だけど、もう眼科は年末年始休暇で営業してない……ってんで、片目を腫らしたままで座ってました。うーむ肝心なときに……。しかも、帯とか考えたのに忘れてるし。

『モンゴル史』はともかく、古代トルコ・ルーン体文字碑(ウィグル可汗国時代)とか、作ってるときは熱中しているから気付かなかったけれども、実際モノができてみれば、「こんなマイナーな時代・地域って興味ある人いる~?」って、心配になってました。

 が、終わってみれば、多くの方に興味を持ってもらえたようでよかったです。

 前々から、『集史』のところどころ、突厥・ウィグル碑文に似てるなー、と思っていましたが、改めてじっくりウィグルの碑文を見てみると、「コピペ?」と思えるくらい似てる箇所が多々あるんですよねー。この辺を追求して行きたいけれど、ますます「需要あんのかソレ?」な沼に嵌まる……いや既にズブズブはまってるかもしれませぬが(笑)。

 はてさて、次に何をやったら良いものですかね~。

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2018年12月23日 (日)

年末寒波爺到来でもこれで大丈夫@土西へ17a

あわあわしてるうちに、コミケットまで1週間を切ってしまいました!
気になる年末の天気ですが……

本年最強寒波爺(ジェッド・マロース)襲来!

……だそうで。

ちゃんと足先ホカホカのヤツを用意しましたよ。

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露天のようなものなので、じっと座っていると冷えますが、ちゃんと対策しておけば、そんなに寒いとも思わないんですけどね。夏ノ方ガヨッポド地獄ジャ

何年か前にリアノーボスチが凍傷防止の心得として出していた動画には、

①朝食を食べる②アンダーシャツを着込み、靴下も履き、スニーカーでなくブーツを履く③手袋、マフラーをして帽子を被る

……なんてあったけど、その通りでしょう。特に朝食は大事よ。

……参加者は朝まで準備に追われ、亡者のようになってやって来るのかもしれないけど、朝ご飯しっかり食べると、随分違いますぞ~。

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このように本自体はできているので、何か配付資料ができないかと今やってます(汗)。

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2018年8月12日 (日)

昨日はありがとうございました@Comiket94

 昨日のComiket94は、暑かったけれど、2日ほど前まで台風でこもっていた熱気が洗い流されて、最悪の事態は免れて良かったです(コミケ雲は発生しませんでした)。

Comiket94

 こんな暑い中、「群雄」に来て下さった方、ありがとうございます。

 当日の朝、近所のコンビニで「両面コピー失敗したー!」とか焦りに焦りまくって、配付資料作ってた私は、出遅れてたようです。

 前日までに用意しとけよって話ですが、ギリギリまでできるだけ良いもの(というか、あとで間違いに気付いて恥ずかしくならないもの)作ろうって思うのは、みんな同じだよね?(たぶん)

 しかも、『モンゴル史』「部族篇」1、3ともに第3版なので、そんなに出ないだろうとタカをくくってあまり持って行かなかったので、わりと早くなくなってしまいました。後の方に来た方、申し訳ありませんでした。

 ……「部族篇」を全部訳し終わったので、「私の役目は終わった……」と思っているところです。編集長が「チンギス=カン紀?」とか無茶ブリをしてくるのですが、ベーシックインカムでも導入されない限り無理です。……で、冬は何をするかが問題です(3か月しかないからねぇ)。

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2018年8月 9日 (木)

『集史』序文をコミケ当日に配りたいよ@土西う29a

 東洋学者ロマスケーヴィチが書いた『集史』第Ⅲ巻序文、なんとかやっつけた!

 よくわかってない私が何か書くより、この序文読んだ方が『集史』や、今回出す「部族篇」1~4の背景がわかると思うよ~。だから、パンフレット代わりに土曜日配ろうかなと。

 しかしながら、冊子にするには4の倍数頁でないと都合が悪いので、今回は注は入れられない。完全版を無料公開してもいいけど、ペルシャ語がどばーっと入っているので、KDPくらいしか完全版アップする場所がなさそうなのが悩みの種……。

Romaskevich

アレクサンドル=アレクサンドロヴィチ=ロマスケーヴィチ
(たぶん合ってる)

(元ネタはこの辺りだったか?→ http://www.orientalstudies.ru/rus/index.php?option=com_personalities&Itemid=74&person=747)

レニングラード封鎖で亡くなっているようなので、ソ連版『集史』第Ⅲ巻(イル=ハン国史)が出た頃は、既に故人なのよねー。

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2018年8月 4日 (土)

『集史』ロマスケーヴィチ序文を訳してみたよ@土西う29a

なんだか実感がわかないうちに、コミケまで1週間になってしまった! ヤバイ。8月に入ったら、シベリア並に暑さも収まるかと思ったらまだ暑い! どうする?!

7月中は、本はできたし、アレクサンドル・ロマスケーヴィチの序文をザックリ訳したので(10頁ほど)、当日パンフレット代わりに配布できるように、まっとうな日本語にする作業をしているんだけど、なんだか危うくなってきた(笑)。

Preface
※こんなに直しているようじゃ間に合わねぇ!

ソ連で『集史』の訳と校訂本づくりをやろうってなったいきさつやらなんやらが書いてある。あと、「部族篇1」の最初に書いた写本についての話とか。人名地名の表記をどうするか、比定するのに参考にした本とか。「凡例」みたいなこと。『モンゴル史』の内容自体に直接の関係はないといえば、関係ないんだけど、本としてはあった方がいいんだろう。

『集史』の出版が始まった頃には、ロマスケーヴィチはもう死んじゃってるくらいだから、研究史の内容は古いんだろう。各写本の位置づけとか、素人には今一つワカラナイので、本当は本物の『集史』研究者に解説してもらえるといいんだけどなー。ワシハヨクシラン。シロウトダシ。

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2018年7月26日 (木)

モンゴル史部族篇1と3完成しました@土西う29a

「部族篇」1と3の第三版、できてきましたよ!

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『モンゴル史』翻訳のきっかけとなった「部族篇3」が一番薄く(64頁)なってしまった!

 印刷お願いしたポプルスさんの印刷機(?)の性能が向上したのか、裏表紙の写真が第二版よりクリアになってる気がするんだよね~。

 みなさんもノート代わりに何度も読み返したり、字を書き込んだり、付箋貼ったりして、ボロボロになるまで使い込んで欲しいです。そして、新しい版が出たらどんどん更新していただく!!!

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こんな風に本棚に並べてね!

 まあ、その前に、「誤訳だ!」とか「誤植(つーか、誤変換)だ!」とか「この解釈は違うだろ!」とか「訳者が呪われて眼から血が出たって本当ですか?(本当です)」などとツッコミを入れてくれると喜びます(←マゾ?)

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2018年5月17日 (木)

映画「1944 独ソ・エストニア戦線」

1944 独ソ・エストニア戦線 [DVD]

2015年エストニア/フィンランド
監督:エルモ・ヌガネン
キャスト:
カール・タミク…カスパル・フェルベルク
ユーリ・ヨギ…クリスティアン・ウクスクラ
アイノ・タミク…マイケン・シュミット

 1991年、ソ連崩壊にともない、「再独立」を果たしたエストニア。
バルト三国の一番北に位置し、フィンランド湾を隔てたすぐ隣のフィンランドと民族的にも言語的にも近く、今ではすっかり北欧の国の一員に。
 「再独立」から四半世紀しかたっていないのに、今や日本を遥かにしのぐIT先進国。例えば、スカイプを生み出したり、シリコンバレーで採用されるような先進的ロボット宅配用UGVを生み出したり。

 こういった新しいモノを生み出し、素早く世界に送り出すスピード感も、お役所のIT化がめちゃくちゃ進んでいることに起因しているらしい。
 日本の役所が因循姑息なやり方で、改革を先延ばしにしているうちにすっかり追い抜かれた。
 「エストニアは小国だからドラスティックな改革ができた」って言う人もいるかもしれないけど、それはおかしいでしょ。人口が多く経済の大きな国ほど規模のメリットが効いてくるんだから、大きな国の役所ほど電子化効率化しなけりゃあかんやん。

 エストニアが古いシステムを惜しげもなく捨て、先進システムに一新することができたのは、ソ連に押しつけられたシステムなんて、むしろ一刻も早く捨て去りたかったからだろ、と思っていた。
 でも、どうやらソ連に対する思いは、ちょっとやそっとの生やさしいことじゃなかったみたい。

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 1944年、タンネンベルグで戦うドイツのエストニア人部隊。うねうねと迷路のように掘り込まれた塹壕の中で、カールたちの部隊は赤軍と戦っていた。
 カールは、おじさんの忠告を軽視して、摘発があることを家族に知らせずにいたために、彼らがシベリア送りになったとの自責の念から、ドイツ軍に志願したのだ。激しい戦闘や戦闘の合間のわずかな気のゆるみから、次々と戦友たちが死んでいく。ドイツ軍が劣勢になるにしたがい、エストニア人の部隊も撤退することになった。タルトゥに向かう途中、塹壕を掘って赤軍を待ち受けていると、やってきたのは赤軍のエストニア人部隊だった……。

 赤軍兵士として戦闘に参加していたユーリ。「君は前途有望だから」とか何とかで、政治将校に目を付けられてしまった。まぁ、要するに部隊内のスパイになれってわけだ。ドイツ軍を追って森の中を進むうちに、ドイツ軍の制服を着た16、7歳の少年たちを発見。ドイツ軍に無理矢理に徴兵されたので家に帰りたいと懇願する少年たちを射殺するよう、政治将校はユーリに命じる……。

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 なんかいろいろダメだよね。両軍の兵士にハムだのパンだのを提供していた農民の夫婦もあれきっとシベリア送りか銃殺かろくでもないことになるんだよ。

 信念を持ってと言うか、宗教のように盲目的に信じ切ってコミュニストなり、ナチスになりになってるなら、敵に殺されても本望かもしれんけど、普通の人はただ幸せに暮らしたいだけだもんなー。これじゃあ、うまく立ち回ろうとしてもしなくても、無理だよな。下手すると、最初にシベリアに送られた家族が一番幸福だったってことになりかねん。

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2018年3月11日 (日)

映画「惑星ソラリス」

惑星ソラリス Blu-ray 新装版

1972年ソ連
監督:アンドレイ・タルコフスキー
キャスト:
ハリー…ナターリヤ・ボンダルチュク
クリス…ドナータス・バニオニス
スナウト…ユーリィ・ヤルヴェト
サルトリウス…アナトーリィ・ソロニーツィン
ギバリャン…ソス・サルグシャン

 ソラリスはSF映画の金字塔と言われてるけど、見てると寝ちゃうんだよねー。
 これは家で見てはダメだと思い、上映会があったので見に行ってみた。これならさすがに寝ないで最後までいけるだろ。

(ちなみに、日本語字幕はないが英語やトルコ語の字幕付きのがモスフィルムの公式サイトにやけに良い画質であがってる

 その結果、今までは30分もしないうちに寝ていたことが判明……。ナニソレほとんど見てないじゃん!
  言い訳になるんだけどさ、上映会では隣のオッチャンも10分もしないうちに寝息をたててた。私だけじゃない!

 というわけで、ようやくソラリスの全容がわかった。

 昔の東京(たぶん首都高速)のシーンが想像してたよりずっと長かった(←開始30分なのに見てなかった)。トンネルかアンダーパスの壁のタイルとか、異様な道幅の狭さとか。町の様子も昭和なので、懐かしいばっかりで頑張っても未来都市に見えないのがやや難点……。

 それで内容は、ホラーを見過ぎたせいかホラーに見えちゃった。

 意志を持つ惑星ソラリスが、自分に近づいてきた人類に興味を持って、その頭の中を探り、その人がもっとも気にしているモノを物質化してついてくる。

 それが心にわだかまっている罪の意識だから、人によっては堪えられなくなっちゃう。で、人によっては無視したり、自殺したり。

 ちなみに、自殺したギバリャンってアルメニア人だよね。アルメニア正教会っぽい建物の写真集持ってた。ギバリャンが、過去にどんな過失を犯したのかわからないが、許しを請うても許されない何かをしたんだろうね。過失で子供を死なせたとかかな? キリスト教的罪と罰の話をロシア正教でやると検閲に引っかかるから、アルメニアに託したのかな? 形式において民族主義的ならいいだろってことかも。

 最後には、もっと大がかりな仕掛け(島)まで作り出して、人間側がもっとも欲しがってる「許し」を与え、自分から逃げていかないように捉えちゃうんだもん、「ITイット)」のペニーワイズとあんまし変わらん。まぁ、補食シーンはないし、「食うんだろうナー」と思っちゃうあたりがホラー見過ぎな人間の妄想なんだけどね。

 でもさ、食わないにしても興味を持った人間が逃げないように虜にしておくんだから、十分ホラーだと思うんだけどなぁ?

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