2016年12月26日 (月)

コミケット91に参加します@30西ほ-10a

 あわあわあわ……とあわあわしているうちに、もう年末ですよ。2016年も今週で終わりです。

 コミケット91、群雄堂は30日(金)西地区“ほ”ブロック-10a、新刊ありますよ~。……私はないですが。
 夏の「部族篇4」で力尽きました。これで『モンゴル史』「部族篇」は全巻揃ったのでどうかお許しを。……え?「序文」はどうなったかって? あーあーあーあーあー聞こえない(ぉぃぉぃ)。

 お詫びにこんなパンフレットを作ってみましたので、当日お立ち寄りの際は、もらってやって下さいまし~。

Organa

……うん、作った。大河ドラマ便乗ネタで作りましたよ。

でもね、いまだにオルガナ?オルキナ?ウルケネ?オルクナ?どれ? と迷ってて、コピーに踏み切れず悩んでるんです。うーん、うーん。どうしたらいいのか……。


「ラノベのようにすらすら読めるシリーズ」もちっとも進んでない~る~るるる~。(←壊れた)

 何もかも中途半端で当日に臨みそうな気がしますが、何卒よろしくお願いします。

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2016年11月 9日 (水)

映画「U.G.T. カオスコード」

U.G.T. カオスコード [DVD]

2012年トルコ
監督:ジェム・ギュル
キャスト:
メテ・オズテュルク…ギョクハン・ムムジュ
メルテム…ロジダ・デミレル
マンスール…ジェマル・ヒュナル

 んー、このチープな画面のツクリは……アサイラム?(違います)
 低予算っぽさが端々ににじみ出てて、あらゆるシーンでメガシャークを思い出すんだけど、B級映画作りにマニュアルでもあるの???

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 突然命を狙われ出したメテ大尉。妻を殺され、正体のわからない敵と戦い、傷ついたところを謎の美女メルテムに助けられる。彼女はUGTという秘密諜報組織に属しているという。このところ世界中でUGTの要員が殺される事件が起きており、それはこのところエジプトなどイスラム諸国の政権を倒し、最後の砦トルコを牛耳ろうとしている世界的規模の秘密結社の仕業だという。実は、メテの父親は……というお話し。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 イルミナティとかメーソンとか地震兵器とか、どうしてそういう大きな事言っちゃうかな。まぁ、そういう厨二臭も好きなんだけどさ。トルコでもこの類の陰謀論が通じるのか、と勉強にもなるしね。
 B級とわかって見る分には、なんじゃこりゃあ!そこ画面に映っちゃ駄目だろ!と笑える場面もあり(笑)。おおむね失笑なんだけど、アクション映画の迫力あるシーンはこうして作る!というメイキングを見るようなおもしろさもある(いや、本編上でバレちゃ駄目だろ)。

 あ、でも、世界を影から牛耳っている秘密結社が~っていう感じの陰謀論を本気で信じてる人にこんな事言っちゃうと怒られそうだな。そうです。これはある世界的規模の秘密結社の陰謀に挑むメテ大尉のアクション映画なのです(棒)。

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2016年9月24日 (土)

トルコの無人偵察機アンカー、実戦配備はいつ?

 アンカーはトルコのTAI(Turkish Aerospace Industries, Inc.)が開発・製造した無人航空機(UAV)。ドローンと言っても良いのかも知れないけど、このサイズだとイメージ的に「ドローン」じゃない?

Anka333s
TAIのサイトより>

 アンカ、もしくはアンカー鳥というのは民話・伝説に出てくる霊鳥で、フェニックスのようなの。ラシードも『集史』の中で、オン=ハンの本名・トオリル(トグルル)の名前の意味を「トオリルとは、(イランから見て)西の地方でアンカーといわれる大鳥と似たようなものである云々」と説明に使ってるくらいだから、イスラム世界では誰でも知っているポピュラーな神獣なんだろうね。
 去年のニュースでは「2016年に実戦配備される」ってあり、今年のニュースでは「2017年から……」ってなってる???なにそれ、遅れてるんですかね? まぁ、この手のモノだとよくある話ではあるんだけどさ。

Shinden
<「前翼機」と聞けば日本人なら誰でも思い浮かぶ震電と同じくらいの大きさかな。:wikipediaより>

尾翼が上側に付いてるけど、やっぱプレデターに似てるよねぇ。純トルコ製とはいうものの。

640pxmq1_predator
MQ-1 プレデター:wikipediaより>

サイズも同じくらい。

  アンカーA    RQ-1 プレデター

全長:8 m        8.22m
翼幅:17.3 m      14.8m
翼面積:13.6 m²     11.5m²

最大離陸重量:1600 kg 1020kg
最高速度:217 km/h   217 km/h
巡航速度:204 km/h   130–165km/h

 じゃあ何でプレデターじゃ駄目なんだろうね? トルコなんかNATO加盟国なんだからアメリカから買えばいいような気もするけど。
 もっとも、日本でも最新鋭戦闘機アメリカから買おうとしたら、機能が制限される、みたいな話なかったっけ? トルコだとイスラエルが近過ぎてあんまり見えすぎる偵察機はアメリカが売ってくれなかったりするのかもね。……いや、知らないよ? わしゃぐのたじゃないからね。
 この辺、中東地域を研究している専門家に聞いてみたいところ。

 やっぱり、実戦に使うとなればISISに対して使うんだろうなあ。それはまぁ、いいとして(他国の上空を飛ばすのか、というのも問題のような気もするが)、クルド系のゲリラにも使うんだろうなあ。トルコにそういう技術力があるっていうのは喜ばしい事なんだけど、自前で作らなきゃならないほど必要とされているって、そういう事なんだろうと思うと悩ましい。

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2016年9月 6日 (火)

「ラノベのようにすらすら読める集史」シリーズをKindleしてみたよ

 Kindleアンリミテッド人気にあやかろうと、ウチも「ラノベのようにすらすら読める集史」シリーズなるものを始めてみました。

Jami2
集史: 部族篇2 ラノベのようにすらすら読める集史

 →にある『届かなかったLove Letter』のラシードが語っている、というイメージで書いたので、少々調子に乗り過ぎな気もしますが、いかがなものでしょう?
 アンリミテッドで読める方、有料でも読んでやる、という親切な方、是非とも感想をお聞かせ下さい(「え?集史ってこんなんだっけ?」とか)。

 いや~、それにしても「部族篇2」翻訳してから3年、見直してみると随分いっぱいいっぱいだったんだなぁ、と感慨深いですな。序文のワケワカランぶりにうんうん唸った後でこれ見るとそんなに難しくなく読めて、「クソっ、クソっ、なんて自分はロシア語できないんだ」と思いながらも取り組んでいるウチに少しは進歩したのかな?……だといいな~。

 で、新シリーズ記念に、既発表のヤツの無料キャンペーン、9月11日までやってるるるr。
是非ダウンロードしてみてね~。

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2016年7月23日 (土)

ハザール帝国時代の墓地を発掘しているよ

シンフェローポリ市(クリミア)のサイトによると、東ボスポロス調査隊がケルチ市郊外クズ=アウル遺跡でハザル可汗国(ハザール帝国)時代のアランと見られる人々の墓を発掘したと報じています!

2016年7月21日
クリミアで考古学者が古代の墓地を発見(写真あり)←というかほとんど写真

場所はケルチの郊外です。
上の記事の写真見ると、海に臨む高台(海岸段丘の上)のようですね。
古墳好きも納得の(?)良さげロケーションです。

 プレス・リリースによると、手に持ってるのが石英塊、銅製の装飾品とおもり。1~1歳半の子供が埋葬されてました。その遺骨の上には玉髄の大きなビーズ。5~8世紀のいわゆる「サルトフ=マヤーツカヤ文化」に属しているものである事が判明しています。というわけで、この墓の被葬者はハザル可汗国を構成していたアランであったとみなされています。

 遺骸は法医学鑑定ののち発掘物共々クリミアの博物館に収められるとのことですが、具体的な館名が書いてない…クリミアにあるのなら、いずれにせよ、なかなか行くのが難儀そうな(政治的に)所でしょうなぁ。

 ハザールってだけでユダヤがどうのー、アシュケナージがどうのー、色々面倒くさい事を言ってくる人がいるのに、クリミアかよ!って思いますが、政治的意図があるからそこら辺から発掘費用が出てくるんでしょうね。ポル=バジンなんかもそうでしょう。わざわざプーチンが見に来たりしてさ。

 考古学なんて浮き世のどろどろからほど遠い、純粋でひたむきな学問のようなイメージがありますが、なかなかに生臭い事でございます。

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2016年6月15日 (水)

映画「雪の轍」

雪の轍 [DVD]

2014年トルコ
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
キャスト:
アイドゥン…ハルク・ビルギネリ
ニハル…メリサ・ソゼン
ネジラ…デメト・アクバー
ヒダーイェット…アイベルク・ペクジャン
ハムディ…セリハト・クルチ
イスマイル…ネジャト・イシレリ

 いやぁ、何はともあれ、最後はアイドゥンが最もすべきだった彼に相応しい仕事に着手できて良かった。いろいろあったけど、それも物書きには糧になるさ。

 なにしろ、周囲の働かない連中ほどプライドが高く、偉そうに他人を批評するのが笑える…と言うか酷い話。盗人にも三分の理で、そういう批判の中にも自分のためになる事がある、と思ってアイドゥンが真摯に反省して歩み寄ろうとしても、それは違う、とかまた批判。その一方で、相手のおかしい所を指摘しても同じ話をぐるぐる繰り返すばかりでちゃんと反論できない。しかも最後は逆ギレ。…ネットの書き込みかーい!

 逆恨みして刺しそうな勢いの人さえいて、それも最近のストーカー事件みたいなネット・トラブルを思わせる。カッパドキアののどかなホテルの裏でこんなストレスのたまる人間関係が繰り広げられているという対比がすごいけれども、日本でも田舎って僻みっぽい人多いからな、こういう面倒くさい人間関係、実際ありそうだよなー(だから過疎るんだよ)とも思った。
…もっとも、田舎だろうと都会だろうといつの時代でも人を批判して貶めることで自分を高めて偉ぶってる人間は大勢いるのかもしれないけどねー。

 そうそう、アイドゥンが馬を買いに行くシーンがあるんだけれど、やっぱり馬が少し小さいような。我々の祖先の馬だ、とか言ってるからトルコの馬もあんなもんなんだね。

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2016年5月23日 (月)

ドキュメンタリー「1万2000年前の神殿調査」

ナショナル ジオグラフィック チャンネル
1万2000年前の神殿調査
2012年アメリカ
監督:ティム・コナード

 トルコ南西部のギョベクリ=テペで発掘された神殿跡。驚くべき事に、12000年前の石器時代に建てられたものだ。エジプトのピラミッドより7000年も早い世界最古の神殿跡か? 狩猟採集で生活していた人達がこのような大規模な石造りの構造物をどうやってつくったのだろう? 土器や車さえない時代に。

「農耕が始まる前、狩猟採集民が定住していた!」ってさも新しい知見のように言ってるけど、日本の縄文時代だって定住していたよな、割と普通に。三内丸山遺跡だって、加曽利貝塚だって農耕なんかしてないぞ。それで千年以上続いてた。
 そもそも、狩猟採集生活が貧しくて農耕民が豊かだなんて事はないもんな。森なり草原なりが豊かで食べられる植物がたくさんあれば、動物だってたくさんいるから肉も食べられる。狩猟採集生活の方が豊かな生活をしてそうだけどな。

 定説は、
農耕→定住→宗教→宗教施設→都市
という順番に発展するものだって説明されるんだけれども、欧米ではこういうふうに教えてるんだ? 我々の感覚では何か違う気がする。

 縄文時代の日本でも犬が丁寧に埋葬されていて、狩猟の友だったようだけど、このVTRでも「この時代、家畜はいない」とアナウンスされるちょうどその時の映像が犬を連れた狩猟風景だった(笑)。犬は家畜じゃないのかい。

 アナトリアの方の「神殿」じゃああまり関係ないよなー、とこのドキュメンタリーを見る気はなかったのだけれど、見てみたら、石柱が石人君に見えたので、急に興味がわいてきて、何度も見るほどに(笑)。体に動物の模様とか、顔が描かれないけど帯や手は描かれる様式とか、むしろ鹿石に似てるかも。スキタイの文化がシベリアの方まで広がっているのを考えると、鹿石の考え方の底にもここと同じような信仰があるのかもしれないなー。

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2016年5月22日 (日)

講演会「文字のシルクロード」聞きに行ったよ

 古代オリエント博物館で開催中の「世界の文字の物語 ―ユーラシア 文字の形―」展にあわせて開かれた「文字のシルクロード:西アジアから東アジアへ」という講演会に行ってきました。アラム系の文字たちと聞けば行かない訳にはいきますまい(笑)。

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お題(記憶頼り)と講師は次の通り。

下釜和也「はじめに ユーラシアの文字について」
柴田大輔「楔形文字」
永井正勝「古代エジプトの文字文化とアルファベットの誕生」
春田晴郎「西アジアのアラム系文字とシルクロードの文字」
荒川慎太郎「東アジアの文字世界―漢字とそれをとりまく文字」

 それにしても、大盛況でした。博物館や会議室に行き着くまでのサンシャインシティの人出もすごかったけど(笑←アニメか何かのイベントやってたらしい)。
 会議室に椅子すごく追加してましたもん。さもなきゃ立ち見の150人程度。何がこれだけの人を引き寄せたのかよくわからないのですが、エジプトでしょうかね? アラム系文字とか西夏文字とかあまり人が集まるような出し物でもないような気がするんですが、いつの間にか世間ではメジャーになってたとかですかね??? でも、その人気も納得の興味深い話でした。

 どういうふうに文字ができてきたかその経過が比較的よくわかっている楔形文字は、そもそも、大規模な都市ができてきた時に多くの人間を統治する必要性から作られた、役所の実用的な文書がはじまりっていうのは、なにやら敦煌文書に通じる所があるなぁ、何て思いました。と、いうか役人のやってることは千年一日どころか五千年一日で変わらない?

 古代エジプトについては、聖刻文字と神官文字が最初から別々の文字であった、というのがいわゆるルーン体の突厥文字とウィグル文字との関係と似ているかも、と特に興味深かったです。ウィグル文字もルーン体の文字を崩してできたのではなく、両者が併用されてますもんね。あれも使い分けとかあるのかと不思議に思ってたので、そういう事なのかなぁ?と想像してました。展覧会場の方は、トニュクク碑文の拓本が展示されてたけど、ウィグル文字との関連は書かれていませんでしたかね?

 それにしても笑ったのは、「死者の書」製作の仕事を安く短期間で引き受けた書記が、先輩の書記の作品を使い回して素早く仕事を仕上げた話。たとえ話ですが、この時代からコピペがあったのかよ~。この時代にはコピペチェックツールはない…よね?(人間のやってることはあんまり変わらないから割とあったりして)。

 で、文字は衣装のようなものであって、こだわりであったり、威信であったり、民族衣装であるということは、必ずしもみんなにわかるコミュニケーションツールでなくてもいい、というのはなるほど、と思いました。これは西田龍雄氏の言葉で、西夏文字そのもののお話しはさわり程度だったのですが、雲南の色々な文字をとりあげたりと、何となく西田氏をフィーチャーしてるように感じられました。

 アラム系の文字が古代ペルシャで使われた理由が、広い帝国内での通信に、重い粘土板の楔形文字より、軽い羊皮紙のアラム文字っていうのが実利的で納得というか、その勢いでアラム系の文字は古代の日本にまで到達しちゃっているのだからすごい。でもここでもはじまりはやっぱり役人かぁ…(笑)。感覚的には、特定の宗教と結びついて遠くまで広がるのが多いような気がしてたんですが、それは二番煎じみたいなもんなんですかね。

 展示の中にも、オロンスムのキリスト教徒のシリア文字の墓誌銘等々のようなのがありましたが、宗教が文字の誕生や保存と深く関わっている例が印象が強いからそう思ってましたが、きちんと証拠を調べるとそうでもないものなんですね。

 で、オロンスムの近くに、ぽろっとソグド文字銘文入りのテュルギシュのコインが展示してあったのはうれしい予想外でした。方形の孔が空いていて、まるで中国の貨幣みたいな形なのにソグド文字…。ソグド人に作らせたのかと思ってたけど、違うんかーい。

 話を講演会に戻すと、最後は東アジアの漢字の影響をいろいろな形で受けた文字で、西夏文字も漢字と似た形のものは全くないにも関わらずこの仲間なのは、へんとつくりを組み合わせて作る、といった構造からだそうです。それにしても複雑な形。アレはどこから出て来たんでしょうね? 音? デザイン的な美しさ? 講演会場には西夏文字プリントしたTシャツ着てた方もいましたが…。

 漢字の影響で作られた文字以外にもありとあらゆる文字がある東アジアの中でも、雲南ナシ(魔些)族のトンパ文字や彝族(昔はロロと言った)彝文字(ロロ文字)は異色の存在だそうでして。系統不明…というか、トンパ文字は独自文字がたくさんある東アジア地区でも目立ちますよね。ロロ文字も横のものを縦にする系だと思うのですが、ウィグル文字と同じく全体を90度回すという方が発想としては自然なのかなぁ、と考えたりしました。突厥碑文なんかも横書きで刻んだのを碑文として縦に建ててますからね。私たち日本人は、漢文の影響で一つ一つの文字の向きは変えずに縦に並べ直すのが縦書きのスタンダードだと思い込んでますが。

 という訳かどうか、突厥文字もこの系統不明の仲間に入れられてました(アラム系だろうけど、完全に解明されている訳ではない)。本当に最初はどこなのか、できた過程がよくわからん…。

 あれこれ想像(妄想かも)の広がる楽しい講演会でした。やはり、本も読まにゃあ、だけど、専門家の話を聞きに行くのも良いですね。今後ブルガリアの歴史についての講演会もあるそうなので(2016年 7月2日(土)の講演会「古代ヨーロッパ文明の起源を探る」の事かな?)、参加出来たら参加したいものです。

中島敦『文字禍』。文字というとこれが思い浮かぶよなー、と思ってたら下釜さんが最初に取り上げてました。

最近見たこれ。西田龍雄監修の西夏語が光ってます。

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2016年4月27日 (水)

映画「シー・バトル」

シー・バトル 戦艦クイーン・エリザベスを追え! ! [DVD]

2012年トルコ
監督:イェシム・セズギン
キャスト:
ヴェリ…バラン・アクブルト
マフムート・サブル少佐…ブュレント・アルクシュ
シェフィク中佐…ジェリル・ナルチャカン
ヒュセイン・アイヌル中佐…バルシュ・チャクマク
ムスタファ・ケマル中佐…イリケリ・クズマズ

 アナトリアの最西端、鼻のように丸く突き出した先にある町がチャナッカレ。 まるでその鼻先を丸く覆うかのようにヨーロッパ側から延びているのがガリポリ(ゲリボル)半島である。両者の間にできた狭い水道がダーダネルス海峡、現在でも戦略的要地である事は御存知のとおり。

 ダーダネルス海峡を押さえられると、ここからオスマン帝国の首都イスタンブルまで筒抜けになってしまう。オスマン側としては、ダーダネルス海峡を見下ろすガリポリの高みは絶対取られてはならない要地のはずだが、寄せ集めの軍隊がわずかに守っているだけ……オスマンの主力軍は、カフカス地方の帝政ロシアとの戦線に振り向けられてしまっている。

 連合国側から見れば、綿密な作戦、圧倒的な物量、兵員数及び士気の差、制海権の掌握等々で負ける要素が見当たらない。にもかかわらず、14万人とも言われる死傷者を出して惨敗、海軍大臣チャーチルが引責辞任に追い込まれた……それがこのガリポリの戦いである。

 丹念に戦況を追っている映画なので、地図を見ながら見るとおもしろい。時間時間、場所場所の表示が説明的すぎるかとも思えるが、その丁寧な表示のおかげでダーダネルス海峡の出口にあるボズジャ島(アダ)まで連合国側に占領されて不沈空母化していて、オスマン側のまずい状況が手に取るようにわかる。まぁ、第一次世界大戦だとまだ航空機による絨毯爆撃のようなことはないのだろうけれど、その代わりに無敵艦隊がオスマン側の砲弾の届かない所から撃ってくるわけだ。

 戦場の兵士の日々の暮らしがリアルで、連合国が上陸しようとして最大の激戦地になったアリブヌ(アルブルヌ)の陣地構築では、ああ、また塹壕掘りか……と見ているこっちまでウンザリしてしまう。大量のハエが飛ぶ中での食事もまた嫌な感じでリアル。たかってくるハエを追いながら、
「オレが好きなのか、ははは」
なんておどけてるけど、大量のハエの発生源ってアレじゃない?と思うとゾワッとする。まぁ、すぐ後のシーンではっきり出てくるんだけどね、死体。

 塹壕を掘りをやってる時、下士官が口うるさいくらいにあれしろこれしと兵士達に指示して自分で、
「小言ばっかりだ!」
ってぼやいているシーンがあったけれども、一線級の軍団はロシアとの戦いに行っちゃってて、本当に練度が低かったみたい。よく勝ったな、と思うけれども、本当にああいう風に志願兵?にも丁寧に教えたんだろうね。エンピで敵兵をぶん殴ったり、弾が尽きて銃に剣を挿して突撃したりと(まぁ、あの時は敵も弾薬は尽きてたという話だが…オスマン軍の方がズタボロな補給路だったにもかかわらず)かなり士気が高いように見受けられるのは、バルカンやらアラビアやらの敗戦でオスマン帝国が分解していくのを目の当たりにして、祖国が亡くなるかもという危機感を一兵卒まで共有していた、ケマルら指揮官がよく説明して理解させてたって事なんだろう。これ、負けてたらイスタンブルが陥落して今、トルコという国は残ってないだろうしな。

 少々宗教色が強い感じがしたのは、政権の意向なんだろうか…。作り方によっては、もっと「祖国」を強調して宗教色を薄める事もできたように思う。ケマルが前面に出ていないのも、その辺りの事情かな、とか想像してしまう。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜

 この映画の前半の主戦場になっているダーダネルス海峡の両岸・エジェアバート、チャナッカレは、イスタンブルから世界遺産トロイ(トルワ)にバスで行く時に通りかかる所だから、割とみんな馴染みがある町のはず。こうして状況を知ると、実際その場を目標に訪れてみるのもいいかも、と思える。

 歴史好きは歴史ドラマにいつも「史実通りじゃない」っていちゃもん付けるけど、これはかなり時系列通りに追っているように見受けられる

 第一次世界大戦百年を記念して各国でこの大戦に関係する映画が撮影され、中でも悲惨な戦いだったという事で、ガリポリの戦いについても幾つか映画が作られたようだけれど、そういうドラマ性の高い映画を見る前に、これを見てこの戦いについての意義を予習しておくと、理解度・共感度が高くなるに違いない。

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2016年4月 9日 (土)

映画「スカイ・イーグル」

スカイ・イーグル [DVD]

2011年トルコ
監督:オメル・ヴァルギ
キャスト:
アーメット…チャアタイ・ウルソイ
アイシェ…オズゲ・オズピリンチジ
ブルジュ…ハンデ・スバシ
タナチャン大尉…エンギン・アルタン・ドゥズヤタン

 時節柄、時事ネタが入っていたらおもしろい、と思ってちょっと期待した。

 領空侵犯機に対するスクランブルの場面から始まったので、
「すわ、某R国機か?! げ、撃墜するんですか?!」
とドキドキしたが、そんなこたーなかったぜ(そりゃそーだ←制作年的に・笑)。

 戦闘機飛行中の危機的状況は、ちょちょっとあるだけで、肉親の死に目に会えなかったり、訓練が忙しくて恋人との関係が危なくなったり、コクピットでゲロを吐いたり訓練生から外されそうになる個人的な危機。

 厳しいけどステキな戦闘機乗りのステキな訓練生活が描かれているのは、どこの国でも同じだっちゃー同じなんだが、主席で卒業したのが主人公の幼友達のアイシェだってところがトルコらしいかも。確か、アタテュルクの養女サビハ・ギョクチェンがトルコ初の女性パイロットだったはず。日本じゃあまり女性の戦闘機乗りも旅客機のパイロットも聞かないよな。アメリカだといるようだけど。

 原題は「アナトリアの鷲たち」。トルコ空軍100周年記念にトルコ空軍の全面協力の下製作された映画だそうな。オーソドックスだけれども、今話題のトルコの空軍がどんな所か、他の国と違うのか、同じなのかちょっと見てみるにはちょうど良い。タイムリーでございました。

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