2008年3月 9日 (日)

映画「IRAQ -狼の谷-」

VALLEY OF THE WOLVES IRAQ

2006年トルコ
監督:セルダル・アカル
キャスト:
ポラット・アレムダル…ネジャーティ・シャシュマズ
ケルクーキ師…ハッサン・マスード
レイラ…ベルギュザル・コレル
サム・マーシャル…ビリー・ゼイン
医師…ゲイリー・ビジー

 2003年、イラク北部クルド自治区スレイマニエ市。友軍と思っていたアメリカ軍が突如として銃を向けてきた。屈辱的に本部を明け渡さざるをえなかったトルコ軍の司令官は、
「ご先祖に申し訳ない。祖国に栄光あれ!」
と拳銃で頭を撃ち抜く。
「トルコ人は無駄に誇り高い……」
とあざ笑うアメリカ人サム・マーシャル(民間警備会社の人のようだ。民間人なのにスゲー武装している←しかも民間人なのにトルコ軍の司令官を逮捕している)に復讐を誓う元トルコ軍特殊部隊のポラット。
 ホテルを爆破すると脅してマーシャルを呼び出したものの、子供を盾にするというマーシャルの卑劣さにポラットもあきらめざるを得ない。
 一方、結婚式の当日、祝砲をテロだと因縁を付けてきたアメリカ人に目の前で新郎を射殺されたレイラ。
 アメリカ人たちは逮捕した人たちをコンテナに詰め込んでアブグレイブ刑務所に連行していく。途中、些細な理由でバリバリ撃っちゃう上に、
「あなたを逮捕します!」
と言う正義感の強い兵士をも射殺してしまうクレイジーな兵士に、刑務所の医師は大激怒。
「死んだら臓器が使えないじゃないか!」
画に描いたようなマッドな医師はユダヤ人であり、刑務所で取りだした臓器をイラクの外にバンバン輸出していた。
 この地のトルコ人、クルド人、アラブ人とマーシャルの会談が行われた市場で自爆テロ発生。大混乱に。マーシャルを狙ってこの場に居合わせたポラットとレイラは、やがて協力して圧倒的な武力を持つマーシャルに対峙する。

 主人公の名前があの映画の主人公と同じような気がするんだけど(笑)。pとbは有声無声の差しかない同じ音だもんね?
 トルコ・アラブ・クルドが手を取り合って卑劣な侵略者をぶちのめす、というある意味理想を描いていて私は大喜びなんだけど、イラク人やクルド人は、
「ケッ」
とか思うんだろうか。たとえてみれば日中韓が協力して駐留米軍をぶちのめすって話くらいにありえないような…。でも、映画中で
「今まで私たちは私欲におぼれ、争いを繰り返してきました…」
とか、
「アラーは罰として敵を差し向けました」
とか、モンゴルが到来した時にも聞こえてきたような事をやはり言っているのが興味深い。歴史が繰り返すとするなら、アメリカもそろそろ自滅する頃かな?

 時事問題を巧みに織り込んだ娯楽映画なんだろうけれど、
「自爆テロは神の道に反する」
と丁寧に説くあたり、少々プロパガンダ臭がしないでもないが、イスラム諸国の中でも穏健な方の国家では上映する助けになりそうだ。それにこれを説くケルクーキ師がとっても格好良いんだ。「キングダム・オブ・ヘブン」のサラディンの人なんだけど、こういう人間的魅力にのある人に説かれたらそりゃあ納得しちゃうだろう。どこかの宗教に尊敬の念を抱くには、宗教の教義の正しさ云々より、一番身近にいる信者の印象が強いんじゃないかねぇ。

 あーそれから、白い帽子をかぶって呼吸合わせて輪になって回るのは、一般的な儀式なの? メヴレーヴィー教団みたいなみんなくるくる~ってのとは違うんだけど、どこかの宗派のなんだろうか?

 ところで、これ、アメリカでは上映されていないようだ。というか、トレーラーの煽り文句が「アメリカは鑑賞禁止!」なので、DVD等々もNGなのかね? ナンジャソリャ。

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2007年5月26日 (土)

シリーズ「絲綢之路 14 カシュガル」

カシュガール/エイティガール寺院/香妃の墓 [絲綢之路シルクロード9]

中国
企画制作:浙江長城映視有限公司

 「シルクロード」とは何なのかよくわからないままではイカンと思い、ホータンのことをちょっと調べる必要が出てきたので、この機会に少しは勉強しようと思って借りてみた。

 なかなか素材感溢れるおもしろい映像だった。
 中国の会社が作って韓国でプレスしてるって感じが良く出ている(どーゆー感じよ?)。

 最初にチャプタリストが出、その中に「モハメッド カシュガリの墓」があった。ちょうど読んでた論文にマフムード=アルカーシュガリーについての話が出ていたので、おっ、タイムリー♪と思って押すと…。

 「カシュ東のバザー」が再生された(爆)。

 でもまぁ、「カシュ東のバザー」を押すと「モハメッド カシュガリの墓」が再生されたのでまぁ、いいっしょ(笑)。
 しかも、「カシュガル1」「カシュガル2」はこの前の巻『絲綢之路 13 タクラマカン砂漠』に入っていて、カシュガル関係の映像がぶった切れている。大陸的おおらかさがあますところなく演出されていて何とも心憎い(←褒めてます)。

 ナレーションは読み方は上手いのだがなにぶん単調なので、どうしても寝てしまう。たぶん、中国語の直訳なのだろう、中国のこの手の番組ってこういう事言ってるのか、とわかって結構おもしろかった(なら寝るな)。
 NHKのように、難しい漢字がキャプションで出たりする事など一切ないのも、親切すぎてお節介に感じられる日本の番組とは違うぜ、と異国情緒を感じられて趣深い。

 たとえば、「りくとく人」と盛んに言っているのは、間違いなく「粟特(ぞくとく=ソグド)人」のことだ。こういうの、中国語でもキャプション付いていたら、だいたい想像できるのだが。雲南で見たテレビには中国語でもちゃんと字幕付いてたのにさ~。簡体字は読みにくいとはいえ、クローズドキャプションくらい付ければ非漢民族には助かるんだけど。そういう配慮がないのも、「素材感」を醸し出してる。
 あと、突厥、突厥と連呼しているのが面はゆい。もちろん、阿史那氏のテュルクのことではなく、単に現代のトルコ系の人のこと言ってるだけなんだけれど。

 このシリーズ、全15巻なんだけど、たぶん、全部見たら疲れると思う。ツッコミどころ多すぎ(笑)。

 でもまぁ、所詮他人の撮った映像、入り用な所は映らなかったんだけれどね(爆)。

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2007年5月 6日 (日)

ケサランパサランのルーツがジャダだったとは

 ケサランパサラン
 子供の頃、流行った。テレビで見たのは、ウサギの毛皮のような感じで丸くなったヤツ。そのタイプは実物を見たことはないけれど、綿毛のようなのをケサランパサランという地方もあるらしく、それっぽいの(明らかにアザミの綿毛だろ、とは思ったが)を捜しては捕まえて、おしろいをやって飼ってる子もいた。
 形はいろいろでも、おしろいを食べて増える、幸運をもたらす、毛というのが共通するナゾの生き物?だったと思う。
 名前がカタカナなのに、その割には昔からの言い伝えとかがあって、そのミスマッチというかアンバランスさが何とも言えず不思議魂(笑)をくすぐったもんだった。

 最近、日本ケサランパサラン協会の公式サイトを見つけて、おっ、懐かしいと思って読んでいたら、ケサランパサランの正体についてまとめられているところを見てあっと思った。
 ケサランパサランの正体とは…「家畜動物の腸内結石」…つまり、ジャダ=タシ(ジャダ石)だというのだ。
 しかも広辞苑に出ているって。

>ヘイサラ‐バサラ (pedra bezoar ポルトガルの転) 牛や馬の腹の中から出る結石。赤黒色で、解毒剤として用いられた。馬石記「彼の>馬玉の記に、 和漢にて鮓答(サトウ)といひ天竺(テンジク)にて―といふ」 広辞苑より引用

さ、さとう…ジャダじゃん!

>さ‐とう【鮓答・鮓荅】‥タフ 馬・牛・羊・豚などの胆石、または腸内の結石。生薬とする。牛黄(ゴオウ)。馬の玉。ヘイサラバサラ。ドウサラバサラ。 広辞苑より引用


 ジャダ石を使って雨を降らす方法は、テュルクに限らず、草原に広く伝わっている。
 例えば、トルイが金を攻略したときにカンクリ人に命じてジャダ術…特殊な石(ジャダ石)を水に浸して真夏に吹雪を起こさせた、という。(ドーソン著・佐口透訳注「モンゴル帝国史2」平凡社東洋文庫pp.351-354.)
 戦時に使うと記録に残りやすいけれど、そうでなくても雨が定期的に充分に降るとは限らない草原では、貴重な雨を降らす力って、とてもありがたいものだったに違いない。
大切な雨をもたらすもの…。
 それがめぐりめぐって日本にやってきて、「幸運をもたらす」というケサランパサランの性格に残っているとしたら、とてもおもしろい。


参考文献:

岩井大慧「遊牧民族鮓荅資料匯集」遊牧社会史研究第7冊(1961年2月)
ウノ・ハルヴァ 著・田中克彦 訳「シャマニズム―アルタイ系諸民族の世界像」三省堂

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2007年3月15日 (木)

タイムラインで年表

試しに年表作ってみました。まだワクだけだけれども。

1000~っていうのがどうにも困ってしまうが、結構きれいにできそう。
横長なんでブログにはるときつい(笑)。

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2007年1月31日 (水)

映画「ベルリン陥落」

ベルリン陥落

1949年ソ連
監督:ミハイル・チアウレリ
音楽:ドミートリィ・ショスタコーヴィチ
キャスト:
アレクセイ・イワノフ…ボリス・アンドレーエフ
ナターシャ・ルミャンツェワ…M.コヴァリョーワ
ヨシフ・スターリン…M.ゲロヴァニ
アドルフ・ヒトラー…V.サヴェリエフ
ウィンストン・チャーチル…V.スタニツィン
フランクリン・ローズヴェルト…O.フレリク

 スターリンを崇める映画。
…のはずだが、ヒトラーの方がよっぽどキャラが立ってる。
 ヒトラー役の役者さん、記録映画をよく研究したんだろう、記録映像で見るヒトラーにものすごいそっくり。もちろん、吹き替えでなくロシア語をしゃべっているので、少々違和感があるんだけど、そのせいか、演技というよりパロディに見えてすごくおもしろい(え)。いや、やってることは、すぐ「銃殺しろ!」とわめいたり、自国の民間人を見殺しにしたりとおぞましい限りなのだが、コロッケの美川憲一の物まねを見るようで、思わず黒い笑いが(爆)。


第一部

 ケシの花畑の中を走る子供たち。この花畑の色が劇的におかしい。どうおかしいかというと、昔のソ連の絵葉書の色そのもの。見る者を一瞬にしてあの時代へ連れて行ってくれる(笑)。

 それより、オープニングのモスフィルムのロゴ、男女の像の向きが変わるとこ、かくかくかくって…手動デスカ?

 この子供たちが社会見学で訪れる製鉄所で働いてるのがアレクセイ。
 真っ赤に焼けた鉄に子供たち近づき過ぎ。…ホラー映画だったら、一人二人消えてるよね。

 アレクセイが鉄鋼生産の記録を立てたことで、レーニン勲章を受賞することになり、このとき引率していた先生、ナターシャが祝辞を述べることになる。
 ナターシャ先生、アレクセイに対する賛辞なのに、スターリンに言及するところでもじもじ、もじもじ…ってなんで恥じらってるのー? 軍国少女か(笑)。
 その後、アレクセイとつきあうことになるのも、アレクセイが好きなんじゃなくて、アレクセイがスターリンと会ったからだろ~、と疑ってしまう。

 とにもかくにも、二人はつきあうことになり、麦畑でいちゃいちゃしていると、突然、超低空をかすめていく飛行機の編隊。え?何?
 なんだかわからないうちに爆弾をどかどか落とし始める。敵だったのかー!
 しかも、いきなり(2秒くらいで)ナターシャの服が刃物で切り裂いたようにぼろぼろになってる!!!
 ナターシャを抱えて逃げ回るうちにアレクセイは爆風に吹っ飛ばされて意識を失う。

 ショスタコーヴィチの交響曲7番「レニングラード」の第1楽章で散々繰り返されるメロディー…一言で言うとアーノルド・シュワルツェネッガーの出てたアリナミンVのCM、「ちちんぶいぶい」のメロディー。(古い?)
 ちーちんぶいぶい、と侵攻してくるドイツ軍のサイドカー。セルフパロディかいな(笑)。

 さて、アレクセイが目を覚ますと、3か月経っていた…って、それでソ連軍がけちょんけちょんにされるところは省略かよ。随分都合の良い展開じゃのー(笑)。さすが「ベルリン陥落」。
 しかし、モスクワは包囲され、空にはなにやら飛行船がうようよ。絶体絶命ぢゃん!

 ここでようやくクレムリン内部登場。でも、スターリン以外の政治家は、十把一絡げで配役見ても名前が出てない(ヒドイ)。軍人は、ちゃんと一人一人書いてあるのに。

 おりしも、11月7日。絶体絶命でも、赤の広場ではいつもの通り、粛々と軍事パレードが行われる。

 そのころベルリンでは、各国代表がヒトラーを表敬している。
 スペイン、トルコ、大日本帝国、ヴァチカン…。ん?
 日本がいるのは当然としても、トルコは第二次世界大戦ではのらりくらりと中立を保って、最後の最後で連合国側に付いたんではなかったけ?

 この直後、ヒトラーはスターリンの演説をラジオで聞いて大激怒。
 モスクワをさっさと落とせとわめいたために、大量の航空機がモスクワに向かう。

 この大編隊、すごく懐かしい感じでほのぼのする。
 まー、模型なんですがね、昔の怪獣モノを思い出しますわ。例によって「ちーちんぶいぶい」のテーマ曲に乗って飛んでいく。結果はもちろん、失敗に終わる。

 (これを見ると「レニングラード大攻防1941」の飛行機の動きのリアルさは際だつ。あの部分だけでも見るに値する映画であった。)

 この時点でも乗り気のなさそうな将軍連中にヒトラーは、ドイツ軍だけで兵力が足りないなら、全ヨーロッパから招集せい、とまたまた無理難題を言い出す。
「共産主義は世界の敵だ。…イタリア、ルーマニア、ハンガリー、スペイン、フランス、スウェーデン、トルコ、まさに現代の十字軍をこの手で指揮するのだ!」
 なぬ? ト、トルコ? 十字軍にトルコが入ってるのか! やめてよ!!(爆)

 さすがに後ろで呆れかえって顔を見合わすゲーリングとゲッペルス。
 やんわりとヒトラーに休むように勧める。
 休憩中、
「スターリングラードでスターリンにとどめを刺す」
という思いつきをエヴァ・ブラウンに褒められて更にいい気になる。
 思いつきかよ…。でも、これって本当の話だよね…。
 既にゲーリングは裏ではヒトラーをばかしにしてるし、やけにエラソーだし、大丈夫かよ、ドイツ首脳部…(いや駄目だし)。

 一方、スターリングラードでのドイツ軍との戦闘で、チュイコフ将軍から勲章をもらうアレクセイ。
 ドイツ軍を駆逐してスターリングラードに入ると、廃墟になった自分の家が。最初のシーンって、スターリングラードだったのねー!
 それはともかく、アレクセイはナターシャがドイツの捕虜になったことを知る。
 ここから、ベルリンへの進軍が始まる…。
 真っ平らな平原一面に戦車やらなんやらが走っていく様はやはり壮観。
 なお、ソ連軍の戦車の砲塔には「ファシストぶっ殺せ!」の文字。

 そしてヤルタ会談(1945年2月)。早っ(笑)。
 ここでは、チャーチルがヒールになっている(笑)。
 ローズヴェルトが座ったままで物わかり良く穏和な仲介者のような感じに描かれていいるためにほとんど印象がないのに対して、葉巻を振り回して強硬な姿勢を貫き、一番目立っている。穏やかに話すスターリンが霞むほど(笑)。
 でもなんで、頑固に反対してたのにドイツが敗北して3か月後に日本に宣戦布告する、と断言するとよろこんで同意するのよ? イギリス日本にほとんど権益ないのでわ? アメリカを牽制するためか?


第二部

 ソ連軍怒濤の進撃。
 戦車の砲塔には「ベルリンへ行こうぜ!」の文字が。

 ヒトラー周辺で繰り広げられる喜劇(真っ黒だけど)は本編を見ていただくとして。

 ベルリン空爆が圧巻。
 ミニチュアに見えないいいいい!
 いったいどのくらいのスケールで造ったのか。…1/1スケールとか(さすがにそれはない)。

 ベルリンに迫る頃には、ソ連軍戦車のボディペインティングも「祖国のために!」になってる。
 結果は歴史の通り。でも、ベルリンまでやって来たのに、アレクセイはナターシャとは会えない。

 最後は、ベルリンにスターリンが降り立つ。
 ヨーロッパ中の国の旗…いや星条旗も見える…を振る人々がスターリンを出迎える。
「ギリシャ国民からも感謝を! ウラー!」
「チェコの英雄、スターリン!」
「ビバ! スターリン!」
「%$#6+*!!(←何語か不明)」
…。
一部絶対にそんなこと言うわけない国が混じってないか~?
(え、このシーン全体がありえないって? いいじゃん、ファンタジーだもの。)

 そんな中、偶然、アレクセイとナターシャは出会うことができましたとさ。めでたしめでたし。

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