2009年8月 7日 (金)

映画「レッド・ウォリアー」

レッド・ウォリアー [DVD]

2005年フランス/カザフスタン
監督:イヴァン・パッセル/セルゲイ・ボドロフ
キャスト:
マンスール…クノ・ベッカー
エラリ…ジェイ・ヘルナンデス
賢者オラズ…ジェイソン・スコット・リー
ガルダンツェリン…ドスハン・ジョルジャクスィノフ
ガウハル…アヤナト・クセンバイ
シャリシュ…マーク・ダカスコス

 18世紀。
 オイラトのジューン・ガルがカザフをたびたび攻撃した。そのころ、カザフは大きく三つの集団(ジュズ)、無数の部族に分裂しお互い協力するという事をしなかったため、アクタバン・シュブルンドゥ(跣足の逃走)と呼ばれる災厄に耐えるしかなかった。
 賢者オラズは、
「いつかチンギスハンの末裔の勇者が現れ、カザフを束ねて外敵を退ける」
という伝説を信じ、未来のカザフの救世主を探して諸国を渡り歩いている。
 ある日、オラズが先祖の記念碑である草原の石人に祈っていると、天啓によってその勇者が生まれたことを知る。しかし、ジューン・ガルの巫師もそれを感知していた。ジューン・ガルのハーン・ガルダンツェリンはその赤子を殺そうと刺客を差し向ける…。

Semenovs_footnotes
 壮大な山々を遠景に美しいカザフスタンの草原を勇者の卵たちが裸馬に乗って疾駆する。
 ジューン・ガルは既に砲兵部隊を持っていてカザフ側の要塞を砲撃するんだが、カザフ側はモロトフ・カクテル(?)で反撃、大爆発するシーンは圧巻。お約束の車裂もモロ。フレッシュな枝肉のようにぷるるん、と足が躍動。これだけあっけらかんと千切られちゃうとグロくはないのだけれど、これ見ると、「モンゴル」はあれでも相当抑えた表現になってたんだぁ、と思ってしまう。

 ジューン・ガルのガルダンツェリンがオルタ・ジュズ(中オルダ)のアブライを捕らえて2年近く捕虜にしていたという史実から生まれた民話、もしくは英雄叙事詩といった趣きの物語。
 カザフ人自身がカザフという「民族」のアイデンティティーをどの辺りに置いているのかと実感できる点でも興味深い映画だ。原題の「NOMAD: The Warrior」もあんまり適切じゃない気がする。むしろ「カザフ」という名の原義「ハーンの支配の枠から離れた民」「放浪者」を邦題にした方が良いような気がする。そうするとガルダンツェリンが賢者オラズのことを「カザフ」と呼ぶのも生きてくる。でも、それじゃあその筋の人しかぴんとこなくなっちゃうのかもしれないな。

 こんな感じでカザフスタンの国策映画っぽい内容なのに、主役級の人たちがどう頑張ってみてもアメリカ人にしか見えない(クノ・ベッカーはメキシコの人らしいけど)のがとても不思議だった。
 ひょっとすると、「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」に大いに憤慨したカザフスタンが、
「正しいカザフとはこうだッ!!!」
とアメリカ人に教え諭すために、アメリカ人にも受け入れ易い顔の人を起用したって事なのかな。

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2008年12月30日 (火)

馬がかわいかった映画のシーン

今思いついたネタですが。

「蒼き狼 成吉思汗の生涯」テムジン(子供の頃)の馬
Ookami1 これは以前感想文書いたときにも書いたけど、ベクテルの動きを追って首を動かすしぐさがすんごくかわいい。馬ってかわいいですね。と思って印象に残っている馬のかわいいしぐさを集めてみました。


 ……そういえば、アメリカ映画では馬のちょっとしたしぐさをかわいい~!!!と思ったってのが思いつかない。「夢駆ける馬ドリーマー」にカワイイ!を狙ったらしいシーンが幾つかあったけど自分的にはツボではなかった。萌えのポイントがアメリカ人とは違うんだろうか。

「モンゴル」ジャムカ(子供の頃)の馬
Mongol2 最初、テムジンと出会うところでジャムカが
「俺はジャムカ。おまえは誰だ?」
と問うところでジャムカの馬が鼻先をぬっと向けていて、まるで馬がそう尋ねたかのよう。吹き出しがあったら、尖ったところを馬に向けたい。こんな子供のうちから人馬一心同体のヤツらなんだな~という感じでかわいい。


「光と影のバラード」アンドレイの馬
Svoy 冒頭で手綱につかまったアンドレイを引っ張って遊んでいるのが仲良しって感じでかわいい。
この馬じゃないかもしれないが、本編でもアンドレイが
「何ぐずぐずしてるんださっさと来い!」
って誰に話してんのかと思ったら、ぱこぱこぱこって馬~~~!(笑) 人の言葉がわかるのかい。


「デイ・ウォッチ」ティムールの馬
 冒頭の場面で、ティムールが馬に毛氈を掛けてその腹の下で風雪をしのぎつつ、肉をかじりながら地図を検討している場面がある。あー、戦場じゃあこうやって馬を簡易テント代わりにして休むのか~、と思って感心していると馬がシャー……(笑)。ティムールが怒って馬をどづくという、大衆向け(?)ギャグ。このシリーズ、映画だとぶっ飛びギャグコメディにしか見えないんだけど、原作はシリアスなのかな?

「トゥヤーの結婚」センゲの馬
 お金持ちの幼なじみに嫁ごうとするトゥヤーをセンゲが追いかける場面で、さましくポニーといったちっこい馬(しかももさっとしている)に乗って道路の側溝のような所を走っていく場面が格好良かった。馬の顔もきりっとしていてかわいい。

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2008年12月13日 (土)

映画「スター・オブ・ソルジャー」

Etoile du soldat (L') / 仮題:兵士の星 

2006年フランス/ドイツ/アフガニスタン
監督:クリストフ・ド・ポンフリー
キャスト:
ニコライ…サシャ・ブルド
ヴェルゴス…パトリック・ショーベル
ナジムディーン…モハマド・アミン
アサド…アフマド・シャー・アレフスラ

 夜は空を見て過ごした。友人のアサドが言った。
「この戦争で死んだ兵士は星になる。……そのうちに星が空を埋め尽くし、夜はなくなるだろう」
それを聞いたニコライはロシア語でつぶやく。
「ズベズダー・ソルダータ……」

 原題「L'Etoile du soldat(兵士の星)」。フランスのジャーナリスト・ヴェルゴスが9.11のニュースを聞きながら、15年前にアフガニスタンで出会ったソ連人捕虜を回想する。

 ロックにうつつを抜かしているニコライ・ペトロフに召集令状が来たとき、両親はちょうど良い、軍隊で性根をたたき直してもらってこい、と思った。当時のソ連ではアフガニスタン侵攻の話題は公になっておらず、二度と息子に会えないとは思いもよらなかったのだろう。戦争が行われていると知っていたのは、当初、戦死した兵士の家族だけだった。

 アフガニスタンでたまたま捕虜になった一派の司令官ナジムディーンの人柄と、普通の常識人であるニコライの善良さが幸いして、彼は殺されることなく保護されるのだが、それほど幸運でない何万人もの捕虜は殺されていたに違いない。更に、ニコライがフランス語を勉強したことがあってヴェルゴスと出会えたことは、他に例がない非常に稀な出来事だ。まーだからこそ、映画にもなったんだろうが。

 ニコライたち徴兵できた新兵たちに下士官は
「ならず者や反革命と戦うのだ」
って言ってるけど。ナジムディーンなんかは自警団みたいなもんだし。戦ってる当事者にとっては双方ともわけがわからない。第三者であるフランス人ジャーナリストの視点だから、ソ連側も普通の人、アフガニスタン側も普通の人。ニコライも双方に知り合いがいてどちらも嫌いではないから、余計強くそう感じる。
 それでもアフガニスタンやらイラクやらで性懲りもなく同じようなことをやってるんだから、うまい汁を吸ってるヤツがいるんだろうなぁ。

 ところで、なぜかAmazonではこのDVD扱ってないんだよなぁ。なんでかなぁ(笑)。

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2008年10月 4日 (土)

映画「デイ・ウォッチ」

デイ・ウォッチ/ディレクターズ・カット

2006年ロシア
監督:ティムール・ベクマンベトフ
キャスト:
アントン…コンスタンチン・ハベンスキー
スヴェトラーナ…マリヤ・ポロシナ
ゲッサー…ヴラジーミル・メニショフ
オリガ…ガリーナ・テュニナ
ザヴロン…ヴィクトル・ヴェルフビツキー
アリサ…ハンナ・フリスケ

 おお、ティムールが出てるじゃないの。元気に両足で駆け回ってるぜ……ってなんか変だな。……ま、まぁ、はちゃめちゃなところが見所のファンタジー(ラブコメ風味)に突っ込んでもしょうがないからいいけど(いいのか?)。
 しかし、北イランの話なら、運命を書き換える事ができるチョークを守ってる者がゾロアスター教の神官風だったら萌え萌えなのに。じゃなきゃ、北イランに設定した意味が……(笑)。というか、そもそも、ティムール→古代イランって発想がよくわからん。ミトラス教の入信の儀式なんかフリーメーソンっぽくて格好良いけどさぁ。
 ま、ザヴロンと同じく、私も書き換えたい過去とか特にないから、みんながなぜそんなにチョークに血眼になるのかぴんとこなかったけどね。ティムールみたいにグサッとやられたことないし。あ、闇の側はそんなに欲しがってないか。アントンが欲しがってただけで。

 今回は随分ギャグがわかりやすくっていうか、大げさになってて笑った。
「みんな~、サマルカンドに行きたいか~!」
「イェ~~~(ダァーーー)!」
とか、
寝てると思った人の布団を引っぺがすとクマ~~~!!!
なんて、作った人たち、日本のテレビやマンガ見てるんじゃないの?
 なお、アントンがオリガと身体を交換した後に、これはひょっとしてスヴェトラーナと百合な展開……という妄想が頭をよぎったのは内緒だ。

 ホテル・コスモス、すごく出てるね。あの形、たしかに車が遠心力を利用して走るにはいい形状だけどさ。いや無理だけどさ(笑)。
 そのホテル・コスモスでイゴールの誕生祝いのパーティーが開かれるんだけど、そこで球が炸裂して会場が大混乱になるのがリアルな迫力だなぁ、と思ったら、本当にライフルを撃ちまくって撮影したのね~(メイキングより)。むしろそっちの方がひょえ~~~って感じ。普通逆なのでは?
 でも、好きな男のためにナイフ(食事の時使うヤツ)で自分の指を切断したり、壁一面に男の名前を書きまくっちゃうような女に惚れられたとしたら。むしろその方がリアルホラーかもしらん(笑)。

 なお、ロシアでは大岡裁きが通用しないことはよくわかった(謎)。

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2008年9月 8日 (月)

映画「バトル・シューター」

バトル・シューター

1995年イラン
監督:ラスール・モラゴリプール
キャスト:
ワヒド…マスード・カラマティ
アリ…ファラッド・アスラニ

 この映画の公開時(1995年)にはイラン・イラク戦争(1980~1988年)が終結して10年も経っていないのに、若い世代にとって、それは既に遠い歴史上の出来事になり果ててしまっているのか。

 映画監督のワヒドは、イラン・イラク戦争の「英雄」ベールズの映画を撮っている。その音楽をアリに頼んだのだけれど、アリの書いた壮大な音楽がどうもそぐわないと感じる。
「シンプルなメロディをって頼んだのに……」
それはたぶん、ベールズはあの戦争の「英雄」なんて持ち上げられていて、若いアリはそれをストレートに受け取っているけれど、本当の前線を知っているらしい(映画の中でははっきりとは語られていない)ワヒドにとって、戦争の「英雄」ってそんなもんじゃない、自分の撮りたいベールズは偶像じゃなくて自分の知ってるベールズなんだ、という思いがあるから。
 そんな折、一通の手紙が届く。差出人はベールズだった。死者からの手紙だ……。

 心に引っかかるものがありながら、ワヒドはアリと共にロケ地に向かった。
 そこはかつての激戦地に再現したセットだった。エキストラは集まらないわ、爆発事故は起こすわで、撮影の先行きは暗い。なんだかなぁ、と思いながら長々と掘られた塹壕を歩いていくうちに、ワヒドは信じがたいものを目にする。

 ベールズであった。
Semenovs_footnotes
 結界を踏み越えるようなシーンはあるにはあるが、事象だけを淡々と描いて特に時空を越える原因とか原理を説明していないけれども、日本だったら霊能者が、
「霊が自分の死んだときはこうだったんだよ~って見せているんですね」
とか言い出しそうな話だ。アリが持ち込んだケイタイが現代(1990年代)に繋がって10年前に戦死した父が成人した娘と話しているし、なんだかイラン人のあの世観って、日本人に近いのかなぁ。

 そもそもゾロアスター教では大みそかに精霊フラワシになった先祖が子孫の様子を見に飛んでくる、という新年の一連の行事(ゾロアスター教の元旦は夏至)が日本に伝わって盂蘭盆会になったという説もあるくらいだから、ひょっとしたらそうなのかも。

 そんなオカルちっくな話なのに、塹壕が薬莢やら不発弾やら包帯?やら散乱し、壊れた車両がそこここに転がっていて粗大ゴミ捨て場みたいになっている様子がやけにリアルだなぁ。死体もゴミのように散らばってんの。イラン側は戦車も大砲ももう破壊し尽くされていて、ゴミのように転がったイラン兵のうち、息のある者をイラク兵が確かめつつ射殺して行っているのが見える。そしてイラク軍の戦車が……ってかなり後がない状況。

 また、登場人物の一人が
「トルコ語はやめろ。ペルシャ語で話せ!」
なんてたしなめられていてちょっと気になった。アゼルバイジャン人ですかね。アゼルバイジャンもなにげに分断国家だよな。モンゴル同様。イランでも彼ら少数民族の権利は制限されてたような気がするんだが、戦争となれば兵役はきっちり課されたんだな。いろいろと生々しい話だ。
 Safar be Chazabehが原題?これってペルシャ語? エンドクレジットが読めない文字で書いてあるって困るな~。
Semenovs_footnotes
 懐かしい人たちの死を見届け、どうにかこうにかして帰った現代には雪が降っていた。かつての激戦地だった荒野を白く雪が覆う。

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2008年4月24日 (木)

映画「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」

ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(完全ノーカット版)

2006年アメリカ
監督:ラリー・チャールズ
キャスト:
ボラット…サシャ・バロン・コーエン
アザマット…ケン・ダヴィディアン
ルネリ…ルネリ

 カザフスタンごめんなさい!
「嘘つけ!」
「そんなわけないだろ!」
などと突っ込みを入れつつ笑った笑った。
 ボラットは下品でひどい男だが、ありゃあ旧ソ連とソ連崩壊後の中央アジアのごたごたからアメリカ人が妄想したカザフスタン人を多少(?)誇張して戯画化したもんなんだろうな。だって、教養がありそうな人にもかなり突撃してるのに、
「そんなカザフ人がいるかっ! ニセモノめ!」
って突っ込みを入れてる人が誰一人としていないじゃんよ(笑)。自国以外のことになんか、カザフスタンに限らず知ろうとも思わない連中に違いない。ちょっと前だったら日本人が餌食になってたところだった。いやー、アブナイアブナイ(笑)。
 まー、アメリカ人の変な日本人像は今でも少しは残ってるがこれほどめちゃくちゃじゃなくなっちゃったからツマラナイしな。ダシに使われたカザフスタンには誠にご愁傷さまとしか言いようがないが、「政治的に正しい」あれこれをおちょくってて、とってもおかしかった。日本語吹き替えより字幕の方が、字幕よりロシア語の方がお下劣度が増しているので、ロシア語の教材としてもいい……ワケがねえええええ!!!(英語版とヘブライ語版はどうせ聞き取れないので聞いてない)

 ただし、エガちゃんを生理的に受け付けない人は見ない方が良いかもね(笑)。カルト教団まがいのところに飛び込んだりその他もろもろ、芸風が江頭 2:50に似ている。

 でも、身体を張っているだけに笑える。っていうか、素っ裸のオッサンが二人組んずほぐれつした挙げ句、全裸のまま大人のオモチャを手に、住宅ローン業者のパーティー会場に乱入って…普通に犯罪だろうが。良く捕まらなかったな…って捕まったのかな(笑)。でも、これ、サブプライム・ローン問題がこれだけ大ごとになる前に撮られたんだろ? 実に鋭いところを突いてる。

 最後がいい話になってる(?)ので、お下劣な割には後味の良い映画でした。しかし、カザフスタンが怒るのはもっともなので、「モンゴル」あたりで挽回できるよう祈ってます!

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2008年1月12日 (土)

映画「ナイト ミュージアム」

ナイト ミュージアム

2006年アメリカ
監督: ショーン・レヴィ
キャスト:
ラリー…ベン・スティラー
ルーズヴェルト…ロビン・ウィリアムズ

 題名だけ聞いたときは、NHKみんなのうた「メトロポリタンミュージアム」を原作にした映画かと思ってある意味期待した。「家族で安心してみられる」って評だけど、これ、まずいだろ。アッティラが! こんなイメージで定着したら!!(爆笑)

 一見、コワモテなんだけど、心が寂しい人って感じで。
 いやいや、もっと恐い人だろ~。
 でも、趣味が無力な敵の手足を引き裂く…って、車裂とか五馬分屍とかかよ? どこ行ってもどの時代でもやってんのかよ。まー映画中では人間が犠牲者の手足引っ張ってて、さすがにそれは無理だろって感じでコミカルなだけだけど。…もっとも、ファミリー向け映画で車や馬でブチッといったらさすがに引くだろうがな(笑)。

 アッティラのも一つ興味あるのが黒魔術って。
 ヒィヒィ、腹筋痛い(笑)。シャマニズムだろ、それ。「黒教或ひは蒙古人に於けるシャマン教」なんてのを思い出したけど、それって戦前(戦中?)の訳だよな。(パンザーロフ著、白鳥庫吉訳)

 それにしても、主人公が読んでる「サルでもわかるアッティラ(IDIOT'S Attila The Hun)」って本が実在するなら、欲しいな~。日本語版でないかな?
 だってさ、彼はこれ読んだおかげで、アッティラと彼らの言葉で会話してるんだよ!!!
 フンの言葉って判明してたんだっけ? これ、どこかの実際の言葉なのかな?
 …“IDIOT'S”シリーズっていかにもありそうだけど…ないか、やっぱ(爆)。

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2007年11月21日 (水)

映画「女狙撃兵マリュートカ」

41女狙撃兵マリュートカ
1956年ソ連
監督:グリゴリー・チュフライ
キャスト:
マリュートカ…イゾリダ・イズヴィツカヤ
中尉…オレーグ・ストリジェノフ
コミッサール・エフスュコフ…ニコライ・クリュチコフ

 内戦期。ズプズプの乾ききった砂の沙漠カラクムをひたすらアラル海めざして歩く革命軍の一行。

「やっとの事でアラル海に着いても、干上がっちゃってたりしてな(笑)」

なんて冗談のつもりで茶化していたら、監督がインタヴューで当時、本当にアラル海の水位が下がってきていて、カメラマン(セルゲイ・ウルセフスキー)がそこでは撮りたくない、と主張して、カスピ海で撮影したのだという。ひえ~、1950年代にもうそんなだったのか。

 一行は、カスピ海沿岸のグリエフからシル川沿いのカザリンスクにある司令部をめざしているのだが、水も食料も尽き、沙漠は風も強いから体力の消耗が激しそうだ。燃やして暖を取るくらいの草は生えているが、季節柄枯れてカラカラに乾いている。追っ手の白衛軍でさえ、
「どうせ、死んでしまうのだ。」
と言って沙漠の奥までは深追いはしない。
 マリュートカはその革命軍の一人で、もう40人も射殺している腕の良い狙撃兵だ。

 そんな一行に接近してくるカザフ人の隊商があった。ちょうど良いとばかりに襲いかかる革命軍の一行。
 しかし、カザフ人の切実な訴えや、自分たちの仲間のウマンクル(カザフ人、演じている人は「アンドレイ・ルブリョフ」にも出てるようだ)の複雑な表情を見て、筋金入りのコミッサールもちょっとかわいそうになったのか、ラクダを半分「貸してもらい」、半分は残してやる事にした。
 …コミッサールにちゃんと借用書書いてもらったから、ボリシェビキが天下を取った暁には! この借用書を持って行けば!! …集団化とか言って残りも全部取り上げられるであろう!!!
 …って、シャレにならん話だよな。

 この隊商には、カザフ人たちと一緒に沙漠を渡り、カスピ海沿岸政府のデニキン将軍に極秘情報を伝えるために派遣されたゴボルーハ中尉がおり、革命軍の捕虜になった。マリュートカにとっては41番目の獲物だったのだが、撃ち漏らしてしまったのだ。降伏したとはいえ、極秘情報をぺらぺらしゃべる男ではなかったので、カザリンスクまで連行することになる。


Caspian_seasat_2
※Google mapで見ると、アラル海の湖岸は真っ白だったりする訳だが、昔の話なので水はたっぷり入れてみた。

 原題「41番目」。41番目の標的って意味なんだろう。マリュートカがコミッサールに命令されて、この貴族のお坊ちゃんの中尉を見張ることになった。姿が見えなくなった時点で
「撃ーて、撃ーて、さっさと41番目の獲物にしてしまえ~。」
なんて期待しながら見てた(コラ)。でも、もちろん、気は強いが根の素直なマリュートカは、「貴族=敵」という図式だけで見ていた中尉を近くでじっくり見ることによって、意外に良いヤツ?と思えてくるのだ。

 ストーリィはこんな感じで安心して見ていられる。アラル海を船で渡ろうとして、この二人だけ無人島に打ち上げられるなんて、王道中の王道じゃないか。

 そこで。カラクムのどこまでも続く砂とラクダを堪能した。とにかく沙漠。ラクダの糞がコロコロ。何にもなーい、それでいて砂山のでこぼこで必ずしも地平線まで見通せるわけでもない光景をどう表現するのか、写真を撮るときの参考になるか?と思ってじっくり見た。でも、リアルすぎてむしろ舞台を見ているような感じで、すごく不思議。外で撮ってるのに、舞台照明のように思うがままに光の具合が演出されているのは、太陽がその角度に来たり、雲がその形になるのを待ってたって事なのか?
 ラクダってホントに表情が読めないなぁ…。ぽかんとした口ととろんと下がった瞼のせいか。あれでもいつも見てる人にはわかるんだろうなぁ…。

 しかし、カザフ人の立場からすると、いろいろと難しいというか、厳しい時代のようで…。ラクダが盗まれればウマンクルが真っ先に泥棒呼ばわり。実際は、ラクダ泥棒に殺されているというのに。
「ボリシェビキにラクダ盗られました!」
と反革命側に訴えても何をしてくれるでもなし。
 カラクムをラクダ無しで越えてきた革命軍の一行をもてなしたって事で村は焼かれるし。アラル海の岸辺にある村なんだけど、焼かれる前から何だか貧しそうだったよ。冬か春先の話だから、特に草がなくて荒涼としている時期なのかも知れないが、それを考えに入れたとしても、ひどく荒れた感じなんだなあ…。
 一方、帝政側について働いてるヤツもいたり、まとめる者がいない民草はああなっちゃうって見本みたいだ。まぁ、どんなことをしても食いつないでやるってしぶとさが見えるのがせめてもの救いではあるが。

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2007年8月16日 (木)

映画「UFO少年アブドラジャン」

AbdullazhanUFO少年アブドラジャン

1992年ウズベキスタン
監督:ズリフィカール・ムサコフ
キャスト:
バザルバイ…ラジャブ・アダシェフ
アブドラジャン…シュフラト・カユモフ
議長…トゥイチ・アリボフ
ホリーダ…トゥチ・ユスポワ

 特撮が何ともチープなんだけど、むしろそれを逆手にとって笑いを取りにくるところに脱帽。クワ飛行シーンなんて、もう特撮じゃない! 完全に仮装大賞だ(爆)。思わず笑っちゃう事間違いなし!

 それでいてヘリコプターや戦車が本物なんだよなー。最初の方のソ連(撮影当時)とアメリカのスペースシャトルが宇宙で出会ってコンニチワするシーンのパロディなのか、二機のハインドがホバリングしながらコンニチワしているシーンには思わず唸ってしまった。なんでそこが実写なんだよ~(笑)。

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 ある時、ウズベキスタンの田舎のコルホーズ「コミュニズム」にB7455星雲から宇宙人がやってきた。彼(生殖器がないらしいので、男女の別はないと思うが)は見た目、金髪碧眼の少年なので、第一発見者のバザルバイの隠し子だと誤解されてしまう。しかしバザルバイは、彼の正体がバレる事を心配してか、誤解を積極的に解こうとはしない。アブドラジャンという名前を付けて、7番目の子供として一緒に暮らす事になる。

 やがてコルホーズに異変が!
 キュウリやスイカ巨大化!
 ニワトリ卵ぼこぼこ産みまくり!
 運転手のヒゲがボウボウのびる!

…という奇っ怪な事件続発。最初は騒いでいたコルホーズの人々までもがクワで飛び出す始末。
 しかもみんな、奇っ怪な現象を普通に受け入れて便利がってるし! まー、電気がきた時もそんな感じだったかもしれないけど。

 しかし、コルホーズの人々がそれを宇宙人の仕業と思わなくても、これだけヘンテコなことが続けば、モスクワのナフロブチコ将軍が感づく。そもそも、ナフロブチコ将軍は、UFOがこの方面に来ることを知らせる通知を出していたのだから(村人はあんまりその意味を理解していなかったが)。

 何のために出動したかよくわからない軍隊がコルホーズに迫る!
 どうする? アブドラジャン!

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 副題に「スティーヴン・スピルバーグに捧げる」とあるように、コルホーズの一人がスピルバーグに出した手紙という形式で話が進む。

 それにしても、ところどころ日本語しゃべってないか? 「クーワ返せ!」とか。ネコもはっきり「ヨーク!(うんにゃ~)」ってしゃべってるしな。空耳じゃないよね? 安斎さん?(謎)


関連作品(?):「不思議惑星キン・ザ・ザ

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2007年7月 1日 (日)

【翻3-e】6月のまとめ

 6月は、突厥が祭祀をする季節、ということで突厥関連の資料「ソグドとテュルク」翻訳をやった時に、ちょっとおもしろいと思った事をテーマに、一連の特集記事を書いてみました。

 しかーし。
「ちょっとおもしろいと思ってネタ集め」

「他人様にお見せしても(あまり)恥ずかしくない記事にする」
までの間が予想以上にたいへんでした。

 もちろん、その過程で関連の本を読んだり、各国語辞書を引きまくったり、漠然と「おもしろいなぁ」と思ってただけより、より深く幅広く理解ができ、とても自分の勉強になりました。

 また、毎日更新してる人ってすごいなぁ、と改めて思った次第。
 不十分とはいえ、結構前もってネタ集めとか下調べしていて、それでもかろうじて…しかもたった1か月の特集なのに、これだけ振り回されてるんだから。

 コメントを下さった方、読んでくださった方、ありがとうございます。
「誰かが読む」という緊迫感が1か月何とか持ちこたえる力になりました。

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目次代わりにリンクを一覧にしてみました。

S. G. クリャシトルヌィ著「中央アジア史史料としての古代テュルク=ルーン文字碑文」モスクワ・ナウカ出版社1964年
第3章 ソグドとテュルクより

第1節 ソグド

【翻3-0】まえがき
【翻3-1】ボリシェビキ…?
【翻3-2】ツァーリ≡ハーン
【翻3-3】冠詞と人民
【翻3-4】人々が先か、国家が先か
【翻3-5】胡瓜の王子さま
【翻3-6】襲い掛かるもの
【翻3-7】漢の武帝
【翻3-8】キタイと契丹
【翻3-9】熱河作戦
【翻3-10】ソグド自治管区
【翻3-11】淮陽王武延秀
【翻3-12】傀儡(くぐつ)
【翻3-13】仏陀の娘
【翻3-14】唐におけるクニャージの立場
【翻3-15】世界の中心
【翻3-16】陝西と山西
【翻3-17】バルバロイ
【翻3-18】オルドスのソグド聚落
【翻3-19】城塞都市
【翻3-20】セリンディアのペリオイキス
【翻3-21】姑臧問題
【翻3-22】風の道

第2節 テュルク

【翻3-23】ホルVSリン 熱闘!ケサル王
【翻3-24】匈奴とフンの関係

第3節 アルグゥの国

【翻3-25】カシュガルのマフムード
【翻3-26】「キオスク」はトルコ語か?
【翻3-27】都市国家
【翻3-28】キリスト教徒いろいろ
【翻3-29】ウルスとは、人々…とは限らない
【翻3-30】カガンのフィギュア

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